Journal club【20121212】

「Smoking and overweight determine the likelihood of developing rheumatoid arthritis」

de Hair MJ, Landewé RB, van de Sande MG, van Schaardenburg D, van Baarsen LG, Gerlag DM, Tak PP.

Ann Rheum Dis. 2012 Nov 17. [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23104761

<目的>

・RF or ACPA陽性の関節痛の人が関節炎に進展するマーカーとして、肥満、喫煙がリスクになるか検討する。

<対象>

・関節炎がなく、RAに特異的な血清マーカー(RF or  ACPA)のある55人。

<方法>

・喫煙の有無、体重(BMI>25, BMI<25)で分け関節炎を発症するか否かを検討した。

<結果>

・平均13か月のフォロー

・15人(27%)が関節炎を発症

・関節炎のリスクは、喫煙(HR:9.6)、肥満(HR:5.6)。

・肥満+喫煙者は27か月後には60%が関節炎を発症。

・喫煙と肥満は関節炎に進展するリスクと思われた。

<議論>

・RF or ACPA陽性の人のフォローとした研究でライフスタイルについての研究はない。

・これまでは喫煙との関係は研究されていたが、肥満についてはなかった

・推定機序はアディポサイトカインの関与(レプチン、TNFα、IL-6, IL-1, MCP-1)などが推定される

<Limitation>

・男女差に言及していない。小規模。関節炎の診断は臨床的診断のみで、関節エコー、MRIは使用していない。

<感想>

・関節炎症状のない関節痛+RF or ACPA陽性の患者さんには、RAに進展を阻止させるために禁煙と肥満解消を勧める

    担当 三輪 裕介

「Autonomic Symptoms are common and are associated with overall symptom burden and disease activity in primary Sjorgren syndrome」

Julia L Newton, et al

Institute of Ageing and NIHR Biomedical Research Centre for Ageing, Newcastle University, UK

Ann Rheumatic Dis 2012;71:1973-1979

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22562982

 

<背景>

・Sjogren症候群(SjS)と自律神経障害との関連性は小規模studyにて報告されていた。

・しかし、multicenterでの大規模なstudyは行われていなかった。

・今回はUKのSjS registryを用いて検討を多施設、前向き、横断的に行った。

<対象方法>

・COMPASSを用いて自律神経障害の測定方法を行った317人(男19人、女298人)が対象。(COMPASSとは自律神経障害を評価するツールであり73個の質問からなり患者記入形式である)

・ほぼ白人であり、平均年齢が59.9歳、抗SSA抗体や抗SSB抗体の陽性率は84.2%であった。

・COMPASSは32.5以上が自律神経障害陽性とした。

・コントロールとしては、性別年齢をマッチさせた健常人とした。

・背景やSjSの臨床的な特徴(ESSDAI、ESSPRI、EULAR Sicca Sclae、Profile of Fatigue、Epworth Sleepiness Scale、Hospital Anxiety and Depression Scale(HAD)、EuroQol-5 Dimension)との関連性も検討した。

 

<結果>

・317人中173人(54.6%)にて自律神経障害を認めた(性別および年齢で調整)。

・CMPASSの平均値は、SjS群で35.5、コントロール群で14.8であった。

・自律神経障害の中でも、起立性低血圧、乾燥症状が多く認められた。

・自律神経障害と年齢、性別、血圧、血沈、CRP、抗SSA抗体や抗SSB抗体との関連性は認めなかった。

・ESSPRIとHAD-A、ESSDAIとの強い関連性が認められ、倦怠感とは弱い関連性が認められた。

 

<limitation>

①    registryのすべての症例でCOMPASSを行えていないため今回の検討からは除外しているためすべてを含めた検討では異なる結果が得られる可能性があった

②    症例集積中のregistryであるため恣意的に自律神経障害がある症例が集積された可能性は否定できなかった

③    COMPASSの項目にSjSの主症状である乾燥症状が入っているために過大評価されてしまっている可能性があった。しかし、乾燥症状除外や乾燥症状を「陰性」とし検討しても有意差があったため影響は少ないと判断できた

④    COMPASSは自己評価式であるために信頼性が高くない可能性があった。

 

<感想>

・シェーグレン症候群における自律神経障害が意外にも多く、起立性低血圧などの始めとした自律神経症状にはもっと注意をはらうべきである

 

担当:矢嶋 宣幸

 

 

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