Journal Club【20130130】AAVおよびLNの治療にCyを使用しないことは可能?

Could we abandon cyclophosphamide in systemic vasculitis and lupus nephritis?」

Ann Rheum Dis. 2012 Dec 19. [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23253917

 

Introduction

予後不良なANCA関連血管炎(AAV)やループス腎炎に対するcyclophospamideの導入によりその予後は著しく改善した。その一方で、長期間のCyの使用は重篤な副作用を引き起こすことも知られており、Cy治療を受けたGPAの46%で重篤な感染症が生じたとの報告もある。長期の経口Cyは出血性膀胱炎のリスクをあげ、膀胱がんのリスクも30倍に上昇する。LN患者では25%でヘルペス感染の報告があり、Cyによる卵巣機能不全も問題となっている。AAVおよびLNの治療に際しCyを使用しないことが可能かどうかを考える。

1. AAV の維持療法にCyは必要?

 ・再発リスクとしてPR3-ANCA陽性例や慢性的な副鼻腔の黄色ブドウ球菌感染を有する症例など、症例ごとの薬剤選択も考慮していくべきである。

 ・維持療法としてCyではなくAZPを使用することは可能である。将来的にはrituximabの選択肢も加わる可能性が高い。

 

2. AAV の寛解導入にCyは必要?

  ・経口Cyに代わる療法としては、まず累積量の減少が見込まれるIVCY、限局型のAAVにはMTXが有用かもしれない

     (長期followではMTX群で再発が多いことが別に報告された)

  ・MMFも寛解導入の選択肢の一つとして期待できる。MYCYCの結果が待たれる

  ・RTXはCyと同様に有効である。特に再発症例には有用な可能性が高い

 

3. ループス腎炎でCyは必要?

・卵巣機能不全:年齢・累積薬量・投与期間に影響される

 ・30歳以上 + 累積Cy≧24g ⇒ 100% 無月経になる

 ・26歳以下 + 累積Cy≦9g  ⇒ 無月経のリスクは低い  (Ann Int Med 1993;119:366-9)

・寛解導入には少量のCYが支持される

 

4. MMFはループス腎炎の維持療法に有用か?

   ・MMFとAZPでは差はなく、MMFを使用する必要性は低い

 

 5. MMFはループス腎炎の寛解導入に有用か?

  ・MMFの維持療法の結果に差が出たことに対し患者の人種差が強く影響したと考察

 

6. リツキサンはループス腎炎の寛解導入に有用か?

  ・その他のsmall studyの結果も踏まえると、RTXは血清免疫学的活動性の高いLNやCyやMMFに抵抗性の病態に有用であるかもしれない

担当:高橋 良

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