Journal Club【20130313】新しいRA活動評価法:MDHAQ-RAPID3

 

RAPID3—An Index of Physical Function, Pain, and Global Status as “Vital Signs” to Improve Care for People with Chronic Rheumatic Diseases

Theodore Pincus, M.D., 

Pincus T, et al

Bulletin of the NYU Hospital for Joint Diseases 2009;67:211-25

<概略>RAPID3は患者自己記入式の質問紙表で、身体機能、疼痛、患者全般評価の3つの多次元で構成されている。RAPID3と個々のコンポーネントはバイタルサインとしてとらえられるものであり、予期せぬ健康状態の評価、治療前評価、改善・悪化などの臨床経過と合致する指標として有用である。MDHAQ-RAPID3は標準的リウマチケアに有用であり、どんなリウマチクリニックでも患者来院毎に待合室でバイタルサインと同様の感覚でできるものである。計算はわずか5-10秒でDAS28(114秒かかる)やCDAI(106秒かかる)との相関性も保たれている。待合室で使用するに十分である。MDHAQはROSや最近の病歴を含み、患者来院毎に2-3分で記入できるのである。すべてのデーターは検査所見と同様、治療効果判定、治療方針決定に有用である。よってリウマチケアに欠かせないものである。

 

 

<本文> RAでも血圧や血糖のような標準的な評価法が必要であり、Table 1に示す通りACR core set, DAS28, CDAI、RAPID3がある。DAS28は検査と計算機が必要である。CDAIでも90-94秒かかる。ADLの評価としてのHAQ(full HAQ)は記入に5-10分かかる。mHAQはシンプルだが、心理的評価、倦怠感などがない中途半端。その点を改良したものがMDHAQである(Table 2)。実際の評価票(日本語版)は別紙。心理的因子はBeck Depression Inventory (r = 0.61, p = 0.001) や the Centers for Epidemiologic Studies Depression Inventory (r = 0.64, p = 0.001)とも相関関係あり。VASも丸穴塗りつぶし方式のため、オリジナルHAQと比較して機械読み込みにも向いている(Table 3)。

DAS28やCDAIとの相関については、Figure 3。良い相関である。疾患活動性の評価法は、Table 4に示してある。また、疾患活動性の評価別との相関関係はTable 5。実際に使用されたた例としては、RAではFIN-RACo, TICORA, CAMERA, CIMESTRA, TICORA2でRAPID3の有用性が証明されている。他、OA(WOMACとの比較)、SLE(SLEDAI、BILAG、SLAM、LAI、ECLAMとの比較)、AS(BASFI、BAS-DAI、DFIとの比較)、血管炎(BVAS,VAIとの比較)がある。実臨床ではTable 6に示す通り、臨床研究とは異なるものが求められる。例えば、患者さんが5-10分でできる、全リウマチ性疾患に使用できる、臨床ケアに使用できる、患者ケアにふり返ることができる、診療記録としてそのまま使用可能といったことである。なぜHAQが重要であるかと言えば、Figure 6に示す通り、生命予後に寄与する割合の多いものとして、身体機能、合併症、RF,関節外病変、ESR、社会経済的理由の順になっておる。Figure 7に示す通り、MHAQが悪いと生命予後不良である。

<結論>MDHAQ-RAPID3は患者自己記入式評価法として良い評価法である。

 

 担当:三輪裕介

 

 

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