Journal Club【20130904】 急性好酸球性肺炎の呼気中NOは治療効果に使用できる?

「 Fraction of exhaled nitric oxide in patients with acute eosinophilic pneumonia.」

Lee JE, Rhee CK, Lim JH, Lee SM, Shim YS, Lee CT, Lee SW.

Department of Internal Medicine, The Armed Forces Capital Hospital, Seoul, Republic of Korea.

Chest. 2012;141(5):1267-72.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22016484

急性好酸球性肺炎の呼気中NOは治療効果に使用できる?

 

【背景】

・急性好酸球性肺炎(AEP)は肺好酸球増多症によって特徴づけられる特発性疾患である。

・呼気中NO(FeNo)値は好酸球の浸潤を反映する。

・FeNoの治療による値の変化や急性好酸球性肺炎における診断的役割について評価した。

(気管支喘息では喀痰中好酸球数とFeNoに正の相関関係があることがわかっている)

(気管支鏡施行困難例、肺生検困難例に応用できることが期待される)

 

【方法】

・2010年6月から2011年3月までの9カ月間にArmed Forces Capital 病院を受診し、発熱と画像所見で肺浸潤を認め、臨床的にAEPを疑われた患者・FeNoを初回受診時(治療前)とその2週間後(治療後)に測定した。

・気管支喘息の既往例は除外。

・Xrayでびまん性肺浸潤を認めた場合は胸部CTと気管支鏡検査を施行し、AEPを疑う場合はBALを施行した(Fig1.)。

・AEPはmodified Philit criteriaを用いて診断された(Table1)。

・AEPと診断された場合は2週間、ステロイドを投与した。

・呼吸不全患者はmPSL pulse(60mg×4/日)を施行し、2週間以上かけて漸減した。

・呼吸不全がない場合は内服PSL30mg/日を初期投与し2週間以上かけて漸減した。

・市中肺炎は抗生剤で加療し陰影消失を確認した。

【結果】

・合計60症例が登録され、うち31例(51.7%)がAEPと診断された(Talbe2)。

・全て男性、年齢中央値20歳(18-24歳) 全例が喫煙者 喫煙開始から発症まで21日(median)(rage7-10日)

・最も多かった症状は呼吸苦、発熱、咳であった。

・CT所見としては小葉間隔壁の肥厚、GGOを高頻度に認め、胸水も多くの症例で認めた。

・29例はnon-AEP(49.3%)とされた。

・5例は気管支鏡を施行されたがAEPと診断されなかった。

・Non-AEP症例中1例は市中肺炎と診断されず、びまん性肺胞出血を認め、レプトスピラ肺炎と診断された。

・両群の全症例が治療により改善した。

・AEP患者における治療前のFeNo値は、AEPでない患者と比較して有意に高値であった(median, 48 parts per billion [ppb] [range, 10-138] vs 14 ppb [range, 5-41]; P < .001) (Fig 2).。

・治療後のFeNo値は著明に低下し、AEP以外の疾患と同程度まで低下した(median, 19 ppb [range, 7-44] vs 14 ppb [range, 1-58]; P = 0.21) 

・カットオフ値は23.5ppbがもとめられ、感度87%, 特異度83%、陽性的中率84%、陰性的中率86%であった(Table3)。

・FeNo値の高値(≧50ppb)、低値(<50ppb)によって臨床所見、検査所見に違いは認めなかった(Table 4)。

【考察】

・FeNo値はAEP症例で著明に高値であり、FeNo測定はAEPとそれ以外の疾患の鑑別において診断的ルールとしても有用である。

・この研究でnon-AEPに対して比較的多くのAEP患者が登録されている。

・韓国には数十から何十万もの兵士がいて、当該施設は軍病院で気管支鏡検査が施行できる主要病院であり若い軍人での新規喫煙歴が多いため、AEP症例が多かったと推察される。

【Limitations】

・若年で生来健康成人が多かった集団であったこと。

 

担当:若林 邦伸

 

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