Journal Club【2016406】RA患者にトシリズマブを使用する際にはMTXを継続すべきか。

Ann Rheum Dis 2016;0:1–7. doi:10.1136/annrheumdis-2015-208426

Comparison of adding tocilizumab to methotrexate with switching to tocilizumab in patients with rheumatoid arthritis with inadequate response to methotrexate: 52-week results from a prospective, randomized, controlled study (SURPRISE study)

Kaneko Y, et al.

http://ard.bmj.com/content/early/2016/01/05/annrheumdis-2015-208426.full.pdf#search=%27Ann+Rheum+Dis+2016%3B0%3A1%E2%80%937.+doi%3A10.1136%2Fannrheumdis2015208426%27

RA患者にトシリズマブを使用する際にはMTXを継続すべきか。

 

背景と目的

MTXにて効果不十分なRA患者にトシリズマブを使用する際には、MTXからswitchするのがよいのか、add onがよいのかを調べる

 

方法

・デザイン        :RCT

・対象患者        :RA(233人)

・RA診断基準  :1987 ACR

・組入れ基準    :RAで中等度〰高疾患活動性、20-75歳

・primary endpoint      :24週でのDAS28寛解

・secondary endpoint  :他の臨床指標(X線含む)、安全性

・内服基準        :MTX≧6mg/w

・除外基準        :PSL>10mg

・振り分け        :ランダム2群(add on vs. switch)

・対象施設        :多施設共同(11施設)

・評価項目        :DAS28, mTSS

・実施期間        :2年間(2009.11-2012.3)

・観察期間        :52週

・統計解析        :χ2、student’ t test

・倫理規定     :各施設による。NCT:01120366, UMIN:000002744に登録

 

結果

・83%の患者は52週まで継続できた

・24週 DAS28寛解率  70%(add on), 55%(switch), p=0.02

52週 DAS28寛解率  72%(add on), 70%(switch), p=0.86

・52週 mTSS≦0.5   66%(add on), 64%(switch), p=0.92

・CRRP(ΔmTSS≧3)15%(add on),  7%(switch), p=0.07

(CRRP: clinical relevant radiographic progression:臨床に関連するX線の進行)

・CRP 0週と24週、0週と52週では差がある。24週と52週では差がない

・安全性 ほぼ同等

 

議論

・これまで、MTXで効果不十分なRAに対するTCZ治療は、add onかswitchで議論あり。

ACT-RAY studyでは、1年間では両者に差はない。(1年でしか評価していない)

CHARISMA studyでは、add onのほうがDAS28寛解率で評価した場合に有効性が高い。

・Limitation ①二重盲検ではない。②adverse eventを評価できる症例数ではない。③MTX使用量が欧米諸国と比較して少ない。

 

結論

・MTX効果不十分例に対するTCZ add onは、switchと比較して、早期に炎症を改善させ、関節破壊の進行を抑制する。

・しかし、52週になると臨床的有効性の差は乏しくなる。

 

担当: 三輪 祐介

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