IgG4関連疾患に対するリツキシマブの効果【Journal Club 20200603】

Rituximab for IgG4-related disease: a prospective, open-label trial
IgG4関連疾患(IgG4RD)患者に対するリツキシマブ(RTX)の使用についての前向きオープンラベル試験

 Mollie N Carruthers, Mark D Topazian, Arezou Khosroshahi, Thomas E Witzig, Zachary S Wallace, Philip A Hart, Vikram Deshpande, Thomas C Smyrk Suresh Chari, John H Stone
 Rheumatology Unit, Division of Rheumatology, Allergy, and Immunology, Department of Medicine, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, Massachusetts, USA.
Ann Rheum Dis. 2015 Jun;74(6):1171-7
PMID:25667206

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<サマリー>
IgG4RDの患者30人に対してRTXを使用し、半年後・12か月後のIgG4RD -Responder Index(RI)(活動性とダメージの指標)を計測した。97%は治療に反応し主要アウトカムを23人(77%)達成した。14人(47%)は6か月の時点で完全寛解を達成し、12人(40%)は12か月後も完全寛解を維持していた。

P:IgG4RD患者
E:RTX投与
O:6か月後の疾患活動性や再燃の複合アウトカム 
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<セッティング>
 期間:2012年5月 から 2013年7月
 場所:the Massachusetts General Hospital, Boston, Masachusetts, USA and Mayo Clinic, Rochester, Minnesota, USA

<研究デザインの型>
 前向きオープンラベル試験(前後研究)

<Population、およびその定義>
  組み入れ基準
  ・病理学的にIgG4RDの診断(29人)OR ②臨床的症状、検査、CT所見が1型AIPに合致する(1人) のどちらかを満たす患者の中でIgG4RD-RIで活動性がある人

<主な要因、および、その定義>         
 ・15日間間隔でRTX 1000mgを2回投与
 ・インフュージョンリアクション防止目的に投与前にmPSL 100mg前投与
 ・主治医が必要と判断した場合初期からPSLの併用可能

<主なアウトカム、および、その定義>
〔主要アウトカム〕 
  ・6か月後に以下の3つ満たすこと
   ①IgG4RD RIが2以上の減少、②6か月前に再燃なし、③2-6か月の間にステロイドの使用なし
〔副次アウトカム〕
  ・12か月後のIgG4RD-RI、PGA、治療反応性、再燃、寛解、完全寛解、臨床マーカーなど

<交絡因子、および、その定義>
 なし

<解析方法>
 T-test、Fisher’s Exact test

<結果>
 ・30人の患者がエントリー
 ・平均61歳で平均罹病年数は約6年
 ・14の罹病臓器と38の症状。唾液腺が18人、AIP18人(組み入れの条件の影響?)。大血管炎は2人と少ない。
 ・参加時点でDMARDsは使用している患者なし。4人が登録時にPSL使用、22人が以前のステロイドの使用歴あり。使用歴としてMMF3人、AZP3人、MTX1人、RTX6人あった。RTX使用歴ある患者に関しては前6か月間使用していない。
 ・26人の患者はRTX単独で治療開始。治療反応は6か月の時点で97%であり、初期治療から2週間以内に反応が見られることが多かった。
 ・23人が主要エンドポイントを達成した。達成できなかった7人中6人は2-6か月の間にステロイドを使用していた。
 ・IgG4RD-RIもPGAスコアも診察ごとに減少傾向あり。
 ・23人がPGA 0を達成し、IgG4RD-RIからIgG4値を除いたものと良く相関した。
 ・12か月後の時点で27人がステロイドをオフできた。12か月以降のフォローアップで2人のみステロイド中止できていない。
 ・完全寛解は12か月時点で18人が達成した。うち47%は6か月の時点で達成
 ・有害事象:クレブシエラ尿路感染1人、レジオネラ肺炎1人。冷式溶結性貧血、一過性黒内障、不安定狭心症、眼科偽腫瘍摘出、尿道癌(研究参加以前からあり)

<Limitation>
 ・対照群がない。
 ・罹患臓器の割合が普段経験する症例と違う点。大血管炎が少なく、AIPが多い。

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?> 
  ・RTX使用により早期PSL減量が目指せる可能性。
 ・RTXが比較的早期(2週間以内)に反応
 ・リツキサンに対するRCTは存在しないために、このような試験からの治験も重要
 ・RTX使用により初期からPSLを使用しなくてもいい症例がありうる

担当:林智樹

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