No.22
「Metabolic syndrome in ANCA-associated vasculitis」
Daniela R. Petermann Smits, Benjamin Wilde, Makan Kianersi Adegani,
Heiko de Jongh, Pieter van Paassen1 and Jan Willem Cohen Tervaert
Rheumatology (Oxford) 2013 ;52:197-203.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23192910
<目的>
・メタボリックシンドローム(以下MetS)は西洋において心血管イベントの重大なリスク因子であり、死亡原因の多くを占める。
・ANCA関連血管炎(以下AAV)においても心血管病変は重大な死亡原因となるが、これまでにAAVとMetSの関連は研究されていない。
・よってこの論文では、AAVと健康なコントロール群でのMetSの有病率を調べると同時に、AAVにおいてMetSは炎症誘発性の状態と関連があるかを調べることを目的とした。
<方法>
・AAV:91名と健康なコントロール群(以下HCs):89名を横断的研究で比較した。
・AAVの18歳以上の外来通院患者(①PSL10mg以上内服者②活動性の病態の者③悪性腫瘍の患者を排除)91名とHCs(①18歳未満②感染者③自己免疫疾患の既往歴のある者は排除)89名に身体計測と血液検査を行い、MetSの診断を行った。
・基準はNational Cholesterol Education Program Adults Treatment Panel III (NCEP-ATP-III)を採用した。
<NCEP-ATP-III>
①血圧130/85以上もしくは内服加療中
②ウエストサイズ男性:102㎝以上、女性:88cm以上(アジア人:男性90cm以上、女性80cm以上)
③血糖5.6 mmol/l以上もしくは内服加療中
④HDLコレステロール男性:1.0 mmol/l未満,女性1.3 mmol/l未満もしくは内服加療中
⑤TG1.7 mmol/以上もしくは内服加療中
のうち3個以上を満たすものをMetSとした。
【結果】
・MetSの診断基準を満たした人はAAV群で39名(43%)、HCs群で22名(25%)であり、有意にAAV群で多かった(P = 0.012)
・項目別ではウエストサイズ(P=0.002)と血圧(P = 0.02)が有意にAAVの群で多かった。
・この有病率の違いは現在のステロイド量や積算のステロイド量では説明できなかった。
・また、AAVでMetSのあった人はMetSが無い人に比べて有意にCRPとneopterinの値が高く、再発率も高かった。
【結論】
・AAVの人ではMetSの有病率が有意に高かった。MetSは誘発性の状態と関連し、AAVの再発率をあげているのかもしれない。
【Limitation】
① Retrospective
② MetSの発症がAAVの発症と比較して前もしくは後なのかがはっきりしていない
③ HCsの生活習慣や食生活が揃えられておらず、バイアスがかかっている。
担当:磯島咲子
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