Journal Club【20130116】ANCA関連血管炎(AAV)の活動性や病態の評価の指標となるバイオマーカーはあるか?

No.26

「Circulating Markers of Vascular Injury and Angiogenesis in Antineutrophil Cytoplasmic Antibody–Associated Vasculitis」

Arthritis & Rheumatism, 2011; 63: 3988–3997

Monach PA, et al

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21953143

 

<目的背景>

ANCA関連血管炎(AAV)の活動性や病態の評価の指標となるバイオマーカーはあるか。

<患者/方法>

RAVE trialの患者197名中血清が測定しえ、6か月後に病勢評価ができた146名(GPA:127, MPA;36)。Baselineと6か月後の病勢評価(BVAS)と従来の炎症マーカーであるCRPやESRに加え、MMP-1, MMP-3, MMP-9, VEGF,E-selecin, ICAM-3, Trombomodulinを測定し、有用性を比較した。

<結果>

①6か月後に寛解をえられた123名においてはbaselineと比較し6か月後ではE-selectinを除くすべてのマーカーが有意に低下した。

②6か月後に疾患活動性が高かった23名では寛解が得られた患者と比較すると、MMP-3, MMP-9のみ有意に高かった。

その他のマーカーは6か月後の活動性との関連はなかった。(table1, table2)

③baselineの病態との関連性:活動性の高い腎障害を有する患者ではMMP-3, trombomudulinのみが有意に高値だった。(table3)

④MMP-3は開始時のステロイド使用の有無に影響を受けなかった。

<考察>

1. MMP-3は活動性腎障害の存在を疑う根拠となり、疾患活動性と関連する可能性が示唆

これまでに言われていること

A)MMP-3は川崎病、特に冠動脈瘤と関連

B)高安病で上昇する

C)GPAでの上昇はGPAにより動脈硬化がもたらされるためとの仮説がある

D)ステロイド使用でMMP-3値は上昇する

⇒今回の研究ではGC内服の有無で差はなかった。

<Limitation>

①治療内容について考慮していない

②経過中の軽微な再燃については評価していない

③予後を予測しうるものではない

④MMP-3含め検査の精度の限界

 

担当:高橋 良

 

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