Journal Club【20130130】 RS3PE患者とPMR患者の臨床的特徴の比較

「Clinical Characteristics of Patients with Remitting Seronegative Symmetrical Synovitis with Pitting Edema Compared to Patients with Pure Polymyalgia Rheumatica」
The journal of Rheumatology 2012;39:1 148-53

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22174210

 

<目的>

・RS3PEの患者とPMRの患者の臨床的特徴を比較。RS3PEと悪性腫瘍の関係を調べる。

<方法>

・2000年1月から2009年12月の間に治療されたRS3PEとPMR患者の後ろ向きレビュー。

・アウトカムは疾患の臨床経過と悪性腫瘍との関連。

<結果>

・28名のRS3PE患者と123名のPMR患者(RS3PEの全患者はPMRの診断基準を満たした)。

・年齢、併存疾患、ESR、CRP、Hb、症状の期間と進展、初期投与ステロイドへの治療反応性、ステロイド合併症率は両群で差はなかった(table1)

・RS3PE患者は有意に男性が多く(79% vs 41%; p = 0.001)、喫煙歴が多く(39% vs 15%; p = 0.008)、 診断時にうつ病の有病率が高かった(11% vs 2%; p = 0.044)。

・RS3PE患者は、臀部痛はPMR患者よりも少なかった(39% vs 74%; p = 0.001)。

・フォローアップ期間中に他のリウマチ性疾患に進展したRS3PE患者は1人もおらず、PMR患者では6名(4.9%)が進展した。

・9名の癌発症患者の内、7名は全身症状、特に倦怠感(56% vs 22%; p = 0.037)と食欲不振(33% vs 9.0%; p = 0.047)において癌の無い患者と比較してわずかに頻度が多かった。

・厳密な癌検索にも関わらず、悪性腫瘍の合併率はPMRと比較してRS3PE患者では統計学的な有意差は無かった[2 (7%) vs 7 (6%), respectively; p = 0.673]。

<結論>

・RS3PEはPMRと臨床的に明らかに異なるにも関わらず、臨床的特徴、治療反応性、転帰においてPMRと類似。

・PMR患者と比較して男性、鬱状態、喫煙においてRS3PE患者でより認めた。

・既存の研究に反して、厳密な悪性腫瘍検索にも関わらず、RS3PEと悪性腫瘍の関係は明らかではなかった。

・しかし、臨床医はステロイド抵抗性だけでなく、同時発症するがん患者は全身所見と症状が出てくることを考慮するべきである。

<limitations >

①後ろ向き②2008年、2010年のPMR基準を使用していない。 ③RS3PE患者が少ない。

担当:柳井 亮

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