「EULAR recommendations for the management of primary small and medium vessel vasculitis」
Ann Rheum Dis 2009;68:310-317
Mukhtyar C, et al
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18413444
Statement
① 小中血管炎は、専門医中心、または専門医と協力して診療にあたる(エビデンスレベル(EL):3、推奨グレード(RG):D)
② 必要に応じてANCA test(間接的免疫染色やELISAを含む)を行う(EL:1A、RG:A)
③ 生検で血管炎を認めることは診断の強い助けとなるため、血管炎が疑わしい場合は生検を行う(EL:3、RG:C)
④ 臨床評価、尿検査、採血検査を定期的に行う(EL:3、RG:C)
⑤ ANCA関連血管炎では、重症度に応じて治療方針を考慮する(EL:2B、RG:B)
・EUVAS(European Vasculitis Study group)の分類(table5)
Localised;上下気道に限局している
Early systemic;致命的、または、おおきな臓器障害を認めない
Generalised;強い(threatening)腎やその他の臓器障害を認める(血清クレアチニン値<5.6mg/dl)
Severe;腎臓や主要臓器の不全を認める(血清クレアチニン値>5.6mg/dl)
Refractory;ステロイドやシクロフォスファミドにもかかわらず進行性である
⑥ Generalisedな小中血管炎の寛解導入療法には、シクロフォスファミド(経口または経静脈的)とグルココルチコイドの併用を用いる(GPA、MPA:EL:1A、RG:A/ PAN、EGPA:EL:1B、RG:A)
・シクロフォスファミドのパルス療法には、2-mercaptoethanesulfonate sodium(Mesna)の投与を行う。
・禁忌を認めなければシクロフォスファミド投与例では全例pneumocystic jiroveci肺炎の予防のためのST合剤の投与を勧める(バクタ 1T連日or2T隔日)
⑦ Non-organ threatening or non-life threatening ANCA-associated vasculitisの寛解導入では、副作用軽減のためシクロフォスファミドではなくメトトレキサートとグルココルチコイド併用を勧める(EL:1B、RG:B)
・投与量:MTX 20-25mg/week
・投与計画:15mg/weekで開始し1-2カ月で20-25mg/weekに増量する
⑧ 寛解導入において、高用量のグルココルチコイドの投与を行う(EL:3、RG:C)
⑨ 急速進行性の腎炎を認める場合には、血漿交換療法を勧める(EL:1B、RG:A)
⑩ 寛解維持療法では、少量グルココルチコイドとアザチオプリン、レフルノミド、メトトレキサートの併用療法を行う
・Azathioprine(エビデンスレベル1B、推奨グレードA) 投与量:2mg/kg/日
・Methotrexate(エビデンスレベル2B、推奨グレードB) 投与量:20-25mg/week
・Leflunomide(エビデンスレベル1B、推奨グレードB) 投与量:20-30mg/日
寛解維持療法の期間は最低18カ月行うべき
最近、イギリスでは24カ月とも言われている
早期中止は再発の危険を上昇させる
⑪ 標準療法の最大量でも寛解導入できなかったり再発する場合は、ほかの治療法を考慮する
この場合、専門医の下での治療が進められ、臨床試験への参加が進められる(EL:3、RG:C)
⑫ mixed essential cryoglobulinemic vasculitisにて免疫抑制療法を勧める(EL:4、RG:D)
⑬ hepatitis C-associated cryoglobulinaemic vasculitisでは抗ウイルス薬投与を進める(EL:1B、RG:B)
⑭ hepatitis B-associated PANでは、抗ウイルス薬、血漿交換、グルココルチコイドの併用が勧められる(EL:3、RG:C)
⑮ シクロフォスファミド投与患者で、原因不明の血尿が持続する場合は精査が必要である(EL:2B、RG:C)
担当:古屋秀和