「The Five-Factor Score Revisited
Assessment of Prognoses of Systemic Necrotizing Vasculitides
Based on the French Vasculitis Study Group (FVSG) Cohort」
LoB c Guillevin, MD, et al
Medicine 2011; 90:19-27
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21200183
1996年のFFSではPAN、CSS、MPAの342例での検討であった。この研究では、上記の3つの血管炎の10年分の症例を追加するとともに対象疾患にWGを新たに加えての1108例での検討を行った。
<対象>
・1957-2005年まで1108例のPAN, CSS, MPA, WGの患者。
・ 生検にて診断に行った患者は849例、腎臓や腹部の血管造影にて診断を行ったのは125例、臨床症状での診断は134例。
・ 腎障害はCr 1.70mg/dl(1.5μmol/l)以上、心臓障害は症状の有無のみで定義した。また消化管障害は小腸穿孔、出血、膵炎と定義し、ENT(耳鼻のど)障害は耳鼻科医による所見とCTによる診断を定義とした。明らかに他の原因による障害では含まないこととした。
<結果>
・PAN:349例(うちHBV陽性122例)、WG:311例、CSS:230例、MPA:218例であり、診断時の年齢は53.5歳。性別は、男性625例、女性483例。
・全体での死亡率は19.8%であった。
・各疾患の死亡率は、MPA 60/218例(27.5%)、PAN 86/349例(24.6%)、CSS 32/230例(13.9%)、WG 41/311例(13.2%)。
・5年生存率に65歳以上、心臓障害、消化管障害、腎障害が関連を認めた。
・各疾患における予後不良因子としては、MPAでは高齢と腎障害、PANでは高齢と消化管障害、CSSでは高齢と心臓障害、WGでは年齢、腎障害、心臓障害がであった。
・また、PANではHBV合併にて腎障害、消化管障害が発症しやすかった
・予後良好因子として、CSSとWGではENT障害を有する事であった。5年死亡率は、WGではENTあり23%、ENTなし 43%であり、CSSではENTあり92%、ENTなし 84%であった。
・2009FFSでは、高齢、腎障害、消化管障害、心臓障害、ENT障害がないことの5つの項目とした。
・2009FFSのスコア別の5年死亡率は、0点9%、1点21%、2点以上40%であった。同じグループを2006FFSでの解析を行ったところ0点12%、1点18%、2点以上29%であった。
<Discussion>
・BVASとの検討は1996FFSでは相関が示されたが、2009FFSではまだ検討されていない。またANCAの予後への影響も検討されていない。
・1996FFSにて5項目に入っていた中枢神経障害、尿蛋白・潜血では今回の検討では予後に影響しなかった。
・また、肺胞出血が死亡リスクになるとの報告もある。今回の検討では多変量解析ではリスクにならなかったものの、単変量解析ではリスク因子との結果であった。腎障害合併がほとんであり腎障害例としてカウントされたり、予後に影響しないような軽度の血痰とし評価されていたことなどが過小評価につながったとも考えられた。
担当:矢嶋宣幸