「Eosinophilic Granulomatosis With Polyangiitis clinical characteristics and long-term followup of the 383 patients enrolled in the French Vasculitis Study Group Cohort」
Cloe Comarmond, Christian Pagnoux, et al
Arthritis & Rheumatism 2013; 65 270-281
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/ 23044708
長期follow期間観察したGPAのstudy。N数が多く、ANCA陽性陰性で各種症状などを検討している
・1957-2009年まで383人のEGPAの患者
・1996年以前に診断したのは128人(33.4%)
・376人(98.2%)が白人
・再発の定義としては、
①EGPAの症状が3ヶ月以上再発や悪化した場合
②免疫抑制剤の追加や変更、PSLの再開や2倍以上の増量、30mg以上の増量
**臨床症状がない好酸球増多や喘息、副鼻腔炎や鼻炎の悪化は好酸球の増加があるないに関わらず医師の判断で判断された。
・診断時にみられた症状として、体重減少(49.3%)、多発単神経炎(46.0%)、副鼻腔炎/鼻ポリープ(41.8%)、皮膚病変(39.7%)、肺浸潤影(38.6%)
・好酸球数の平均は7669/mm3でありBAに対してPSL10mg内服していた症例は<500/mm3であった。
・ANCAは、108例で陽性、240例で陰性、未計測が35例。
・180例で生検が行われ、145例でEGPAを示唆する所見が見られた
・ANCA陽性群では鼻症状、末梢神経障害、腎障害がANCA陰性群より多く認められた。また、CRPとBVASも有意に高値であった。さらに生検での陽性率もANCA陽性群で有意に高かった。
・ANCA陰性群では、心筋障害がANCA陽性群より多く認められた。
・1996年以前の診断群では、より若い年齢であり、BA、多発単神経炎、心筋障害、腎障害が多かった。
・治療は寛解導入において、PSLは全例使用しており、免疫抑制剤併用が214例(55.9%)であった。
・Follow全期間では、免疫抑制剤使用は271例(70.8%)であった。免疫抑制剤はシクロフォスファミド使用例が217例(56.7%)。
・FFSが1点以上である92例のうち85例で免疫抑制剤が使用されていた。
・平均follow期間は66.8ヶ月。
・45例(11.7%)が死亡。ANCA陽性6例、陰性30例、未測定9例。死亡時期は診断後平均50.4ヶ月。14例が心疾患。感染5例、癌5例、血管炎自体の悪化での死亡例は4例。その他は13例。心疾患14例のうち8例が血管炎によるものであった。
・再発例は97例(25.3%)。うちANCA陽性は38例。
・最終受診時のPSL量は44例(15.7%)で中止にできた。継続しているPtでの平均内服量は12.9mg。
・5年生存率は88.9%。ANCA陽性群では94.9%、陰性群では87.7%(有意差なし)。
・10年生存率では78.6%、ANCA陽性群では88.8%、陰性群では76.0%(有意差あり)。
・5年間非再発率は64.8%。ANCA陽性群では58.1%、陰性群では67.8%(有意差なし)。
・死亡予測因子は多変量解析にて行った結果、心筋障害(HR3.20)、高齢発症(HR1.06)、1996年以前の診断(HR3.20)であった。
・心筋障害群での5年生存率は78.2%。非合併群では91.6%(有意差あり)。
・1996年以前の診断群での5年生存率は82.9%。非合併群では93.4%(有意差あり)。
・死亡予測因子として、FFS1点以上では1996FFSではHR3.84, 2009FFSではHR3.16であった。
・再発予測因子として好酸球数低値が挙げられる。再発群では5980/mm3, 非再発群では8150/mm3(有意差あり)。7569/mm3以下でHR1.83。
・5年間非再発率は、7569/mm3以上で72.8%、7569/mm3以下で58.1%。
・好酸球数の関与を除いて検討した際、ANCA陽性(HR1.60)や皮膚病変(HR1.67)が再発予測因子として挙げられる。
・がん発症が13例。9/13例でシクロフォスファミドの投与歴があった。
・limitationとしては、サンプルサイズ、長いfollow期間、EGPA再発の定義方法についてが挙げられている。
<まとめ>
・ANCA陽性群で鼻症状、末梢神経障害、腎障害がANCA陰性群より多く認められた
・ANCA陽性群の方が、予後が良い傾向にあった。
・死亡予測因子としては、心筋障害(HR3.20)、高齢発症(HR1.06)が挙げられた。
・再発予測因子として、好酸球数低値が挙げられた。
担当:矢嶋宣幸
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