Journal club【20130522】女性関節リウマチ患者の抗ミュラー管ホルモン濃度は?

「Levels of serum anti-Müllerian hormone, a marker for ovarian reserve, in women with rheumatoid arthritis.」

Brouwer J, Laven JS, Hazes JM, Schipper I, Dolhain RJ.

Arthritis Care & Research 2013 Apr 1. [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23554429

女性関節リウマチ患者の抗ミュラー管ホルモン濃度は?

 

【要旨】

目的:女性関節リウマチ患者の妊孕性はRAと診断される前にすでに低下しており、その原因は卵巣予備能の低下と思われる。今回の研究では卵巣予備能として最も信頼できる血清の抗ミュラー管ホルモン(AMH)の濃度を早期RA患者で測定し、疾患活動性やMTXのAMHへの影響を調べることを目的とした。

方法:最近RAを発症した18歳~42歳の女性72名(Rotterdam Early Cohort (REACH)から2010ACR/EURAの分類基準を満たした94名のうち残血清があった者)でAMHを測定し、509名の健康な女性と比較した。そして、AMHとRF、抗CCP抗体、DAS28、MTXの使用との関連性を評価した。

結果:RA診断時、年齢によって調節したAMHレベルは健康な群と有意差は認めなかった。(P=0.254)AMHはRF(P=0.487)、抗CCP抗体(P=0.686)、骨びらん(P=0.350)と関連がなく、CRPや(r=‐0.207,P=0.083)やDAS28(r=0.007,P=0.955)とも有意な相関を認めなかった。治療開始6カ月後、53名のRA患者で診断時に比べ、AMHの濃度は低下していた(P<0.001)が、コントロール群と有意差はなかった。(P=0.741)またMTXの使用の有無で、AMHに違いはなかった。(投与者31名、非投与者22名 P=0.287)

結論:早期RA患者でのAMHは健康な方と同レベルである。よって、早期RA患者の妊孕性の低下は卵巣予備能の低下が原因とは考えずらい。またAMHは疾患活動性や、短期のMTX使用によって影響されない。

【本研究の意義 】

①    早期RAのAMHレベルは同年代の健康な方と同等である。

②    早期RAのAMHは疾患活動性の影響を受けない。

③    短期のMTXの使用ではAMHは影響を受けない。

【限界】

①    MTXの長期使用がAMHの及ぼす影響が検討できていない。

②    婦人科的な詳細情報が得られていない

(AMHはホルモン的な避妊や出産によって変化する)

 

 

担当:磯島咲子

 

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