Journal Club【20140716】ANCA関連血管炎において治療抵抗性、再発性のリスク因子は何か?

Predictors of treatment resistance and relapse in antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitis: a study of 439 cases in a single chinese center.

Li ZY1, Chang DY, Zhao MH, Chen M.
Arthritis Rheumatol. 2014 Jul;66(7):1920-6. doi: 10.1002/art.38621.
ANCA関連血管炎において治療抵抗性、再発性のリスク因子は何か?

 

【目的】

中国人ANCA関連血管炎における治療抵抗性、再発性の病態のリスク因子を単施設で検討する

【方法】

439例のAAV患者が抽出され、治療抵抗性、再発性の病態のリスク因子として様々なパラメーターを分析した

【結果】

47/439(10.7%)が治療抵抗性で血清Cr、ESRが高い値であることが単独リスクで、ステロイド+CY治療歴、筋痛の自覚症状がある場合などでは治療反応性が良好であった。

寛解後の再発は128/439(32.7%)で、肺病変、血清Cr低値が独立した予測因子であった

再発と死亡の複合転帰を検討し、年齢および肺病変が独立リスク因子として抽出された。

【結論】

中国人のAAVにおいて、肺病変の存在、血清Cr低値は再発の独立した危険因子であり、血清Cr高値は治療抵抗性と相関した

 

<既存の報告について>

GDCN

l  治療抵抗性リスクとして 女性 アフリカ系、MPO-ANCA陽性、重度の腎病変 が挙げられた。

l  再発のリスクとして PR3-ANCA 上下気道病変 が挙げられた。

FVSG:

l  上気道病変の有無は再発の有無とは関連がなかった。 高齢者のみがリスク因子として挙げられた。

EUVAS:

l  診断時の血清Cr>200μmol/Lが再発のリスクを減らす予測因子であった。

 

【考察】

l  5年間のfollowでの再発率は~38%とまで言われている

l  大量で長期の治療が実は不要な患者も隠れている可能性があり、治療による副作用も懸念される

l  血清Cr高値が治療抵抗性と相関する(GDCNの報告と一致)

l  Crの高値が治療抵抗性のリスクであるのは腎病変そのものが治療抵抗性なのか、または腎病変では症状の自覚が遅れるためか?

l  腎不全患者に対し、免疫抑制剤の減量が行われる傾向も治療抵抗性の一要因か?

l  本研究でも単変量解析で低用量のCYC治療群でより寛解率が低いことが示された

l  再発リスクとして、これまで多く報告されているPR3ANCAに関しては本研究では関連がなかった

(但し、本研究ではPR3-ANCA陽性率が9.5%と低く、評価が困難)(上記研究では40-58%の陽性率)

l  これまでにも報告はあるものの、肺病変が再発リスクとして抽出された

l  本研究では血清Crが高値であることが再発のリスクを減らすことがわかった

 

【Limitation】

論文に記載はないが、再発群でより観察期間が長期であること、入院期間、生活習慣指導など、腎予後に与える影響が検討されていない点などが考えられる。

 

担当:高橋 良

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