Prevalence of comorbidities in rheumatoid arthritis and evaluation of their monitoring: results of an international, cross-sectional study (COMORA)
Dougados M, et al. Ann Rheum Dis 2014;73:62–68. doi:10.1136/annrheumdis-2013-204223
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24095940
関節リウマチは各種合併症を増加させるか?
【背景と目的】
・RAの合併症の発症率を項目別に国際共同横断研究にて調査する。
【方法】
・デザイン:横断研究(国際多施設共同研究)
・対象患者:RA ・診断基準:1987年ACR
・選定基準:18歳以上 ・エントリー数:各国200人以上 ・実施期間:2011-2012
・測定項目:疾患関連(活動性:DAS28、重症度、治療薬:NSAIDs, steroid, DMARDs)
・合併症(心血管:MI, 卒中、感染症:肝炎、癌:大腸皮膚肺乳腺子宮前立腺リンパ腺、消化管:憩室、潰瘍、肺:COPD, 喘息、骨粗鬆症、精神疾患:抑うつ)
・危険因子:心血管(高血圧、DM、DL、MIか突然死の家族歴)、感染症(ワクチン接種歴)、癌(家族歴、IBDの有無など)
・背景因子:年齢、性別、BMI、喫煙、飲酒、婚姻の有無、社会背景因子、最終学歴
・合併症治療:各国のガイドラインに従った
・サンプルサイズ:各合併症の発症率を考慮し、95%CIで有意差が出るサイズ。
・測定方法:カルテ記録とインタビューの併用
・解析方法:95%CI。
・倫理規定、IC:各国、各施設にてGCPに従った。書面にて取得
【結果】
・17か国(含む日本)(仏、ベネズエラ、ハンガリー、スペイン、UK、アルゼンチン、ドイツ、エジプト、モロッコ、日、台湾、ウルグアイ、イタリア、オーストリア、韓国、オランダ、USA)
・4586人のうち、3920を解析。(韓国が1052人と多く、国別バランスを考慮し400人)
・年齢:56±13歳 ・罹病期間:10±9年 ・女性:81.7%
・喫煙:13.2%(モロッコ3%、オーストリア48%)
・DAS28-ESR:3.7±1.6 ・HAQ:1.0±0.7
・MTX使用割合(過去+現在):88.6% ・Bio使用割合(過去+現在):38.9%
・RAでもっとも高頻度の合併症は「抑うつ」:15%(モロッコ2%、USA33%)
・RAの他合併症の頻度は喘息(6.6%)、心血管疾患(心筋梗塞+脳卒中)(6%)、固形癌(4.5%)、COPD(3.5%、欧米>亜細亜)、HBV(2.8%、イタリア、台湾で多い)、HCV(イタリア、台湾、エジプト)
・評価項目では、血圧上昇(11.2%)、検査所見では高中性脂肪血症(3.3%)、高コレステロール血症(8.3%)が認められた。
【議論と限界】
・世界初!RAの合併症とマネージメントを17か国共同多施設大規模横断研究にて施行した。
・限界
国別で背景因子に差が大きい。選んだ国にバイアスあり。合併症マネージメントガイドラインが国によって差がある。結核がない。国によってリウマチ医へのアクセスのしやすさが違う。抑うつの割合の違いが大きい(そもそも診断方法が曖昧)。
【結論】
・RAの合併症の割合を国際共同研究にて検討した。この結果から、合併症に対するマネージメントを再考する必要がある。
担当:三輪 裕介
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