Being overweight or obese and risk of developing rheumatoid arthritis among women: a prospective cohort study
Lu B, et al. Ann Rheum Dis 2014;0:1–9. doi:10.1136/annrheumdis-2014-205459
http://ard.bmj.com/content/early/2014/08/01/annrheumdis-2014-205459.full
背景と目的
・女性の過体重や肥満がRAを発症するリスクとなるかをNHSやNHSⅡという大規模前向きコホート研究にて行う。
方法
・デザイン:前向きコホート
・対象患者:NHS(121701人:30-55歳)、NHSⅡ(116430人:25-42歳)
・実施期間:NHS(1976-2008)、 NHSⅡ(1989-2009)
・測定項目:BMI 18.5<25(普通), 25<30(過体重)、30≧(肥満)
・RAの診断:2段階方式(①膠原病スクリーニング質問票を郵送し、自己記入にて返送。②その結果をもとに1987ACRを満たすか否かRA専門医が判断)。診断されたらRF, ACPAをチェック(1990年代以前はRFのみ)
・調節因子:年齢、喫煙、飲酒、身体強度、収入(家族総収入)、初経年齢、授乳期間、生理の状態、閉経、閉経後のホルモン剤使用
・除外因子:BMI<18.5
・解析方法:RAの発症率とserotype(RF + or – )をCox比例モデルにて解析。更に55歳以下でのRAと診断された例を再解析。
・倫理規定、IC:Partners Health Care, Inc
結果
-
- NHS(2765195人年、RA発症:826人)、NHSⅡ(1934518人年、RA発症:355人)が登録された。
- 肥満の場合、 HR:1.37 (95%CI:0.95-1.98) p=0.068
- BMI≧30の場合、HR:1.34 (1.03-1.74), p=0.017で有意に発症率が高い
- RF(-)でもRF(+)でも同様の傾向であった。
- 18歳時のBMIで肥満の方は
- 全RA発症 HR:1.35 (1.11-1.64), p=0.002 と有意に発症率が高かった。
- ≦55歳RA発症 HR:1.68 (1.30-2.17), p<0.001と若年者は特に発症率が高かった。
- 議論と限界
- 議論
- アディポカイン、アディポサイトは肥満の人では、炎症性マーカーで上昇する これらの炎症マーカーはRAでも上昇するため、RAの発症機序に関与している可能性がある。
- 強み
- 18歳時のBMIを測定している。喫煙、飲酒、身体活動強度を測定している。RA発症の4-6年前にBMIを測定している。
- 限界
- BMIは身長、体重によるものであり、脂肪量がBMIに比例するものではない。身長も年齢とともに変化する。対象がNsに限られている。
- 結論
- ・RF(+)でもRF(-)でも、RAでは、若い年代に過体重もしくは肥満になるとRAの発症率が高くなる。
担当:三輪 裕介
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