Major vascular involvement in Behçet’s disease:a retrospective study of 796 patients
Fei Y, Li X, Lin S, Song X, Wu Q, Zhu Y, Gao X, Zhang W, Zhao Y, Zeng X, Zhang F
.Clin Rheumatol (2013) 32:845–852
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23443336
背景:ベーチェット病は様々な血管に病変をきたす炎症性疾患であり生命予後にかかわる。ベーチェット病における血管病変の有病率と特徴を評価した。
方法:1995年から2011年までに北京大学病院に受診したベーチェット病の患者796人をエントリー。血管病変の診断は臨床所見、画像(CTA、MRA、超音波)で行った。
102名に血管病変は認め、そのうち100名がICBDの基準を満たし、99名がISGの機銃を満たした。
血管病変のない患者は694人で691人はICBDの基準を満たし、690人はISGの基準を満たした.
結果:
796人中、102名が血管病変を有していた。
ベーチェット病と診断された平均年齢は29.47±11.33歳
診断から血管病変の発病まで平均期間は4.96±6.14年
◎血管病変ありのベーチェット病と血管病変なしのベーチェット病の比較
・発症年齢に差はなし
・男性に多い。
・陰部潰瘍、眼病変、関節炎は少ない。
・心病変が多い。
◎血管病変の特徴
血管病変の発症年齢:34.34±11.2歳(10-66)
動脈病変56人(54.9%)、静脈病変72人(70.6%)、両方26人(25.5%)
静脈病変の方が早い時期に発症する傾向にあった。(有意差なし)
静脈病変は男性で多かった。
◎血管病変の部位
動脈病変も静脈病変も様々な血管に起きる。
◎冠動脈病変
102人中、12人が冠動脈病変を有していた(男11人、女1人)。
9人に血管造影施行し、9人中6人が重度の狭窄を有しており、2人が3枝病変、4人がLAD、仮性動脈瘤が1人であった。
◎血液検査所見
炎症反応上昇76人/102人(74.6%) 20%以上は上昇しない
血沈(1hr)平均:30.58±28.52
CRPの平均:24.19±35.63
動脈病変と静脈病変で差はなし
WBCの上昇102人中32人。
IgG、IgM、C3、C4も上昇する
◎治療について
基本的にはステロイド+免疫抑制薬
*ほとんどの血管病変を有する患者にアスピリンが投与されていた。
コルチコステロイド 0.8-1mg/kg/日で開始しゆっくり減量し10mg/日
免疫抑制薬はCYが最も多く使用されていた。他AZP、CyAなど。
*アスピリンについて血栓性動脈瘤、狭窄病変ある場合は使用されている
経過
94人改善、4人増悪、4人死亡(全員動脈瘤の破裂)、6人が動脈瘤の手術
考察
・血管ベーチェットは様々なサイズの血管に病変をきたす。
・動脈病変では動脈瘤、仮性動脈瘤が死亡率にかかわる。狭窄・閉塞病変の方が仮性動脈瘤より多いといわれているが実際は結構多い。
・動脈病変は炎症がコントロールできていない状況で侵襲的な手術を行うと仮性動脈瘤を起こすといわれているので、炎症がactiveな場合は手術はするべきではなく、
炎症をコントロールするためにステロイド、免疫抑制薬、アスピリンはすべての患者に考慮するべきである。
担当:古屋 秀和
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