Journal Club【20141119】ANCA関連血管炎に対してリツキシマブの維持療法はどうか?

Rituximab versus azathioprine for maintenance in ANCA-associated vasculitis.

Guillevin L1, Pagnoux C, Karras A, Khouatra C, Aumaître O, Cohen P, Maurier F, Decaux O, Ninet J, Gobert P, Quémeneur T, Blanchard-Delaunay C, Godmer P, Puéchal X, Carron PL, Hatron PY, Limal N, Hamidou M, Ducret M, Daugas E, Papo T, Bonnotte B, Mahr A, Ravaud P, Mouthon L; French Vasculitis Study Group.

N Engl J Med. 2014 Nov 6;371(19):1771-80. doi: 10.1056/NEJMoa1404231

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1404231

 

ANCA関連血管炎に対してリツキシマブの維持療法はどうか?

 

背景:

ANCA関連血管炎の多くの患者がcyclophosphamideとglucocorticoidsの併用療法により寛解にいたっている。

その後の維持療法はazathioprineやmethotrexateにより行っているが、再発率が高い。

いくつかのretrospectiveな研究からRituximab(RTX)は寛解を維持するのに役立つであろうと考えられているが、

そのことを十分に評価はされていない。そこで、今回は維持療法でのRTXを効果をazathioprinem内服とで比較した。

 

方法:

2008年10月から2010年6月、パリで施行された研究。

対象は18歳から75歳の新規に診断

★1)もしくはcyclophosphamideとglucocorticoidsで寛解

★2)した後に再燃をおこしたGPA、MPA、腎限局型ANCA関連血管炎の患者。

 

その患者を最終IVCYから1カ月以内にnonblindでランダムに

①RTX(500mg)を0、14日、6カ月、12カ月、18カ月目に投与する群

②azathioprineを22カ月間内服する群に振り分けた。

(2mg/kg/日を12カ月間、1.5mg/kg/日をその後6カ月間、1mg/kg/日をその後4カ月間内服)

各群、再燃者の割合が1/3を超えないようにした。

一次エンドポイントは28カ月での、major relapse(BVAS>0で主要な臓器障害の発症、病気と関連した生命に関わる事象)の割合

 

二次エンドポイントはminor relapse(BVAS>0で、軽度の治療強化でよいもの、上強膜炎/鼻炎等)の発生率と重症な有害事象

 

結果:

115名(GPA:87、MPA:23、腎限局型ANCA関連血管炎:5名)の患者のうち、azathioprineでの治療群は58名、Rituximabでの治療群が57名であった。

28カ月の時点でmajor relapseは17/58名(azathioprine群29%)、3/57名(Rituxmab群5%)であった

。(hazard ratio for relapse,6.61;95% confidence interval,1.56to 27.96;p=0.002)

特に、azathioprine群での再燃は7/17で22カ月後の治療中止後に起こっており、RTX群では2/3の割合で治療中止後に再燃している

。MajorとMinor relapseを合わせると、hazard ratio for relapseは3.53(95% confidence interval,1.49to 8.40;p=0.01)であった。

重度の有害事象は25/58名、25/57名の頻度で起こり、2つの群で同程度であった。(p=0.92)

azathioprine群で44事象、Rituxmab群で45事象の有害事象がおこっている。

azathioprine群で8名、Rituxmab群で11名の重症感染症を発症した。

azathioprine群で2名、Rituxmab群で1名の悪性腫瘍の発症があった。

azathioprine群で2名の死亡があり、1名は敗血症、1名は膵がんであった。

 

結論:

ANCA関連血管炎において、維持療法開後28カ月の時点でazathioprine よりRituximabの方がより寛解を維持できており、2群での有害事象の発症に有意差は認めなかった。

 

★1ANCA陽性で臨床所見がGPA,MPA、腎限局型血管炎に合致もしくは、病理所見と臨床所見がGPA、MPA,腎限局型血管炎に合致または両方の場合に診断。

 

★2寛解の定義はBVAS0点。寛解導入はPSL1mg/kg/日で開始、その後漸減。

一部の人では500mg~1gのステロイドパルス療法を併用。IVCY0.6g per squareを0、14日、28日、0.7g per squareに増量して3週間毎に3回~6回使用し、4~6カ月で寛解導入を行う。

 

Limitation

  1. Blind試験ではない
  2. ②GPAの占める割合が多い
  1. 寛解導入後、18ヵ月間は低容量のPSL(5mg/日程度)を併用を行っているが、その後の継続・中止は主治医の判断に任せられている。
  2. (major relapseを起こした20名の内、再発前にPSLを中止していたのは2名)
  3.  
  4. 担当:磯島咲子

 

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