Ann Rheum Dis. 2016 Mar 25. pii: annrheumdis-2015-208024. doi: 10.1136/annrheumdis-2015-208024. [Epub ahead of print]
Prediction of improvement in skin fibrosis in diffuse cutaneous systemic sclerosis: a EUSTAR analysis.
Dobrota R et.al.
全身性強皮症びまん型の皮膚硬化の改善予測因子について
EUSTAR analisysより
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/?term=prediiction+of+improvement+in+skin+fibrosis
【目的】
EUSTAR databaseを用いて、dcSScの患者の皮膚硬化の改善の予測因子を特定すること。
【方法】
対象…EUSTAR databaseの強皮症患者12274人のうち、改訂Rodnan皮膚スコア(mRSS)≧7点
(dcSScの分類はACRの1980年のものを用いた)
観察期間…登録後12±2か月
Primary endpoint…改善:1年以内にmRSSが5点以上、25%以上の減少
(増悪は1年以内にmRSSが5点以上、25%以上の増加)
統計ソフト…R V.3.1.0
SScのエキスパートによって皮膚所見改善の予測因子が選ばれた。
【結果】
Study population
919人のdcSCCの患者が分析された。
このうち、218/919人(24%)の患者が1年間のフォローアップ期間中に皮膚所見の改善を認めた。
皮膚改善の予測因子の候補として
ベースラインのmRSS、罹病期間、ANA陽性、抗Scl-70抗体、腱摩擦音、蛋白尿、心伝導障害、拡張機能不全、胸部X線上の肺線維化、DLCO≧70%、関節拘縮が挙げられたが、
最終的に
ベースラインのmRSSが高いこと、抗Scl-70抗体が陰性であること、腱摩擦音がないこと
が有意な皮膚改善の予測因子であった。
ベースラインのmRSS 18-25点をカットオフとすると皮膚硬化のregressorがprogressorを上回り、改善の予測因子として有用であった。
【考察】
強み
強皮症の皮膚硬化の改善の予測因子を研究した最初の論文である。
Limitation
データ欠損がある。
抗RNAポリメラーゼⅢ抗体陽性など他の背景の群での検討がなされていない。
バイオマーカーなど今回検討されなかった他の皮膚硬化の改善の予測因子に関して検討する必要がある。
【結論】
mRSSが高いこと、抗Scl-70抗体が陰性であること、腱摩擦音がないことが皮膚硬化の改善の予後予測因子であった。
著者らは最近の研究で、罹病期間が15か月以内、低いmRSS(7/51<mRSS≦22/51)は皮膚所見が改善することを示している。一方で、皮膚硬化のリスクはわかっていないという報告もある。
担当:西見 慎一郎
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