Ann Rheum Dis. 2016 Sep;75(9):1674-9. doi: 10.1136/annrheumdis-2015-207984. Epub 2015 Nov 18.
Effect of Colchicine on risk of cardiovascular events and mortality among patients with gout: a cohort study using electoric medical records linked with medicare claims
Solomon DH, Liu CC, Kuo IH, Zak A, Kim SC.
PECO
P:痛風患者
E:Colchicine投与群
C:Colchicine非投与群(matched control)
O:CVA (MI, stroke, TIAのComposite)
背景・目的
・ 動脈硬化に対して、免疫抑制剤での二次予防の試験が行われている。
・ 通常のpopulationでのコルヒチンはCV二次予防について有効である論文があるが、痛風患者での研究は不十分である。
研究方法
デザイン:Brigham and Women’s Hospital electoric medical records にMedicare組み合わせて使用したコホート内ケースコホート
対象者: 少なくとも90日間colchicine処方がなかった方をcohortエントリー
要因の測定: colchicine投与開始
Non-colchicine群は、年齢、性別(±5歳)、登録日にて1:1マッチング
共変量:下記
アウトカム: all cv outcome (Medicareの情報から抽出)
1st outcome : MI・stroke・TIAのいずれかの発生
2nd outcome:①CABG or PCI, ② all cause mortality
統計解析
記述
分析:Log-rank検定、cox比例ハザード、
交絡: model1:年齢, 性別, 人種
model2: 年齢, 性別, 人種, 心血管既往, 糖尿病, 高血圧, スタチン薬使用,
アスピリン使用 降圧薬使用, 喫煙, BMI
model3: 年齢, 性別, 人種, 心血管既往, 糖尿病, 高血圧, スタチン薬使用,
アスピリン使用 降圧薬使用, 喫煙, BMI, NSAIDs or cox阻害剤,
経口ステロイド, アロプリノール, 慢性腎臓病か末期腎障害
感度解析:exposureの定義をかえて解析
①コルヒチンの使用者での解析 ②コルヒチンの使用日数
結果
・ 655人のコルヒチン開始痛風患者があり、うちマッチングができた501群ずつ使用
・ HT、スタチン使用、アロプリノール、NSAIDS、ステロイドがcolchicine群で高い(table1)
・ F/U期間は、colchicine群にて0.95年であり、Non colchicine群1.56年と比べ短期間
・ 1st outcomeの発生割合はcolchicine群にて低い。CABG or PCI,は類似。All cause mortalityは、colchicine群にて低い。(table2)
・ Cox比例ハザードモデルではModel1-3のいずれでもprimary outcome、2ndoutcomeのall cause mortalityはコルヒチン群で低値であった(figure1)
・ 感度解析:コルヒチン処方期間でのprimary outcome→90日以内の群にて最も予防効果があった(figure3)
・ 感度解析:コルヒチンありなしでのprimary outcome→コルヒチン投与群にてリスク軽減。しかし、尿酸値をモデルに加えると有意差なし(appendix)
Discussuion
・ 今回の結果は、痛風でのコルヒチンにてCVリスク軽減、全死亡が低下する結果であった
・ Limitationとして、①除去できない交絡因子、②感度解析として、時間依存関係がなかった、③誤分類の可能性、④痛風発作や痛風期間が不明
・ 強み:頑強なデータセットの使用、コルヒチン新規導入者のみのデザイン、痛風の定義、secondary outcomeでの全死亡での結果が優位
・ コルヒチンは長期に内服しないものであるが、長期に発作を繰り返す方はいる。先行研究にて、CVDの既往が不明の痛風患者にてCVリスクは軽減される可能性があるとの報告あり。
・ 尿酸値を低下することが、CVリスク低減をすることがある。
この論文での不明点/弱点/疑問点(当科での議論)
・ 処方日数が1日でも暴露群に入ってしまう。
・ 処方日数が長いと効果が薄れていくのは、因果関係が説明しずらい
・ Median follow upが1.31年と1.56年と短期である
・ Outcome発生数が28にも関わらず、model2および3での交絡数が多いためモデルが不安定になる可能性あり
・ 考えうるconfounder
➢ DM, HT, BMI, smoke,
➢ 上記の程度
➢ ACSやstrokeの既往
➢ ACSのFMH
担当:矢嶋宣幸
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