高齢の関節リウマチ患者における生物学的製剤の安全性について【Journal Club 20170131】

『Safety of Biologic Agents in Elderly Patients with Rheumatoid Arthritis.』

Murota A, Kaneko Y, Yamaoka K, Takeuchi T

Division of Rheumatology, Department of Internal Medicine, Keio University School of Medicine

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27585685

『高齢の関節リウマチ患者における生物学的製剤の安全性について』

 

【Objectives】

高齢の関節リウマチ患者における生物学的製剤の安全性を明確にする。また生物学的製剤による合併症のリスクファクターを特定する。

【Methods】

対象は1987年ACR分類基準か2010ACR/EULAR分類基準を満たす関節リウマチ患者。

2012年1月から2014年12月の間に生物学的製剤を導入された患者。

単一施設、後ろ向きコホート研究。2015年2 月まで観察。

WHOの分類で患者を65歳未満のyoung、65-75未満のelderly、75歳以上のolder elderlyの3群に分類した。(Table1)

【Results】

37/309人(12%)がadverse event(AE)により生物学的製剤の継続が困難であった。

AEまでの期間は各群で53、154、164/1000人年であった。

重回帰分析では65歳以上の年齢と肺疾患が、AEのリスクファクターであった。(Table2)

65-74歳のAEのリスクは75歳以上のリスクと変わりない。

AEまでの期間はyoungとelderlyでは差があったが、elderlyとolder elderlyでは相違がなかった。

【Conclusions】

65歳以上では、生物学的製剤によるAEの独立した因子となる。

【Limitation】

単一施設の研究であり、患者背景に偏りがある。

リツキシマブでの治療が日本では承認されていない。

 

【上級医のコメント】

primary outcomeは明記されていない。titleからはdiscontinuationの発生だと想定される。figure1では有意なdiscontinuationの発生率の差が見られるが、単変量の結果であり注意が必要である。年齢を曝露因子として、アウトカムをdiscontinuationとした場合の多変量解析(Cox比例ハザードモデル)が主解析となるべきであったと思われる。また、ロジスティック回帰分析がrisk因子の抽出で用いられているが、一説明変数あたり10のアウトカムが必要であり、37例のアウトカムであるにも関わらず変数が7つ投入されており、モデルが不安定となっている可能性がある。

担当:猪狩 雄蔵

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