『Baricitinib in patients with inadequate response or intolerance to conventional synthetic DMARDs: results from the RA-BUILD study』
Maxime Dougados,1 Désirée van der Heijde,2 Ying-Chou Chen,3 Maria Greenwald,4 Edit Drescher,5 Jiajun Liu,6 Scott Beattie,6 Sarah Witt,6 Inmaculada de la Torre,6 Carol Gaich,6 Terence Rooney,6 Douglas Schlichting,6 Stephanie de Bono,6
Paul Emery7
1Department of Rheumatology, Paris Descartes University, Hôpital Cochin, Assistance Publique, Hôpitaux de Paris, INSERM (U1151), Clinical Epidemiology and Biostatistics, PRES Sorbonne Paris-Cité, Paris, France
2Leiden University Medical Center, Leiden, The Netherlands
3Division of Rheumatology, Department of Internal Medicine, Chang Gung Memorial Hospital-Kaohsiung Medical Center, Kaohsiung, Taiwan; Chang Gung Memorial Hospital – Kaohsiung Medical Center, Chang Gung University College of Medicine, Taiwan
4Desert Medical Advances, Palm Desert, California, USA
5Veszprém Csolnoky Ferenc County Hospital, Veszprém, Hungary
6Eli Lilly and Company, Indianapolis, Indiana, USA
7Leeds Institute of Rheumatic and Musculoskeletal Medicine, NIHR Leeds Musculoskeletal Biomedical Research Unit, LTHT, University of Leeds, Leeds, UK
『バリシチニブの関節リウマチへの安全性および有効性について:RA-BUILD試験より』
【RA-BUILD試験】
目的:RA患者において1剤以上のcsDMARDsに効果不十分または忍容性が低い患者に対して
バリシチニブ投与における12週後のACR20反応率を主要評価項目とし、プラセボ群に
対する安全性および有効性を検討する
デザイン:第Ⅲ相、多施設共同、プラセボ対照二重盲検比較試験
期間:24週
主要エンドポイント:12週後におけるACR20の反応率
二次的エンドポイント:HAQ-DI、DAS28、CRP、SDAI、CDAI、ACR50/70
朝のこわばり(患者の電子日記)
選択基準:18歳以上
8ヶ所の圧痛関節or 6ヶ所の腫脹関節
CRP≧3.6mg/L (0.36mg/dL)
1剤以上のcsDMARDsに対して効果不十分(だった)or不耐性
プロトコール:プラセボ群゙、2mg群、 4mg群を1:1:1にランダム割付
(eGFR40~60mL/min/1.73㎡の患者 19名は2mg群)
スクリーニング時の画像所見(X線やMRI)はランダム化に影響させず
csDMARDs(2剤以下、併用必須ではないが併用時は8週間前より用量変更なし)、
NSAIDs、ステロイド(10mg/日以下)は併用可能
改善率がベースラインより20%未満だった患者に対してはレスキューとして4mgを投与
(14週~16週に評価し16週から投与)
結果:①患者 1241人をスクリーニング→684人を対象
背景 MTX単独(49%)、MTX+csDMARDs(23%)、csDMARDs単独(16%) DMARDsなし(7%)
レスキュー率 プラセボ群 24%、 2mg群 9%、 4mg群 7% (Figure 1)
中止率 プラセボ群 13%、 2mg群 9%、 4mg群 11% (Figure 1)
②有効性 12週時のACR20反応率
プラセボ群 39%、4mg群 62%(p≦0.001) (Figure 2A)
HAQ-DI、DAS-28、SDAI、朝のこわばりでもプラセボ群に比べ有意差あり (Figure 2)
③安全性 AE発生率 プラセボ群 71%、 2mg群 67%、 4mg群 71%
SAE発生率 プラセボ群 5%、 2mg群 3%、 4mg群 5%
中止率 プラセボ群 4%、 2mg群 4%、 4mg群 5%
SAE 死亡2名 肺炎+腎不全
脳卒中(SAH処置後)
心筋梗塞、皮膚がん(悪性黒色腫ではない)
感染症 有意差はないもののバリシチニブ群のほうが発生率高い
上気道炎が最も多い
7名 帯状疱疹(2mg、4mg群) →予防接種なし
1名 結核(4mg)→スクリーニングが不十分
血液障害 Hb→両群でわずかに低下も貧血に有意差なし
好中球→バリシチニブ群で減少 リンパ球→バリシチニブ゙群で一過性に増加
血小板→バリシチニブ群で増加(数例で異常値しめしたが因果関係なし)
肝障害 バリシチニブ群で一時的にALT上昇
ビリルビン上昇にてAEとなった患者は中止後も上昇し続け急性胆のう炎に
腎障害 バリシチニブ群で一時的に上昇(内2名異常値)
CKも一時的に上昇
(グレード3、4も一過性と判断→疾患活動性増悪によるもの)
コレステロール値もバリシチニブ群で上昇
結論:バリシチニブは併用のscDMARDsに関わらずRAに対して効果がある
Limitation:期間が短い
2mg群と4mg群では有意差がない→4mgが至適用量?
合併症に対するスクリーニングの定義やフォローがあいまい
AEでおきた一過性の臓器障害時の対応法の明記がない(休薬?薬剤追加?)
プラセボ群でのAEは継続したscDMARDsと因果関係はない?
担当:櫻井 康亮
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