『Optimal regimens of sulfamethoxazoletrimethoprim for chemoprophylaxis of Pneumocystis pneumonia in patients with systemic rheumatic diseases: results from a non-blinded, randomized controlled trial』
Masako Utsunomiya et al.
Department of Pharmacovigilance, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University
Arthritis Research & Therapy (2017) 19:7
『膠原病患者におけるニューモシスチス肺炎予防のための最適なST合剤投与法は?:非盲検ランダム化試験』
研究デザイン:
多施設(15病院) ランダム化試験 非盲検比較
P:0.6mg/kg/day以上のPSL内服 膠原病患者
E:ST合剤投与 連日投与(SS)
C:連日半量投与(HS)、漸増投与(ES)
O:primary EP; 24週におけるneumocystis pneumonia(PJP)非発症率
Secondary EP; 52週におけるPJP非発症率および副作用発現率
Group:
SS: Single-strength dosage group; SMX/TMP 400m/80mg/dayで開始維持
HS: Half-strength dosage group; SMX/TMP 200mg/40mgで開始維持
ES: Escalation dosage group; 40mg/8mgで開始10%/weekで漸増し200mg/40mgで維持
Discussion:
PJPの発症がなかったことからSSに対するESの非劣勢を証明するものではない
服薬中断率はSSと比較しHS、ESで有意に低いものの、多変量解析をおこなっていない
副作用による薬の中止は有意差はないものの、SSと比較しHSとESで少ない
Limitations:
参加施設によるバイアス 膠原病内科医常駐施設でPJPへの認知度が高い
Non-blind studyであること SS群ではAEsを疑いやすい
観察期間が24週で短い(HIV研究が12週であったことから適切と判断)
除外診断、低体重や腎機能に関してSMX/TMPの量が適正でない可能性
AEsの報告にばらつきがある より厳密なチェックが必要
高容量ステロイド内服膠原患者のPJP予防の効果、安全性をみた最初のRCT
【上級医のコメント】
- やはり一番大きな問題は、non-blindのデザインであること。主治医がそれぞれのST合剤のdoseに対してどのような考えを持っているかによってoutcomeの判断にバイアスが生じる可能性が高い。Primary endpointのPCP発症に関しては主治医判断は入りづらいが、secondary endpointの薬剤継続率では、半量ST合剤は副作用が少ないと思っている主治医である場合、ある副作用が起きた際に他の薬剤を原因として判断しST合剤を使用継続する可能性がある。
- 次に、動的割り付けをどの項目を用いて行ったかが記載されていない。今回はPCP発症はなかったもののPCPの発症は疾患により異なることが報告されており、割り付けの項目にいれてあるかは重要なチェックすべき事項である。実際にtable1で、血管炎や筋炎が群による不均等が存在し、randomな割り付けができていない。
担当:高橋 良
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