Journal Club【20170510】巨細胞性動脈炎に対するトシリズマブでの治療について

『Tocilizumab for induction and maintenanceof remission in giant cell arteritis: a phase 2, randomised, double-blind,placebo-controlled trial.』

Villiger PM, et al.

Lancet. 2016 May 7;387(10031):1921-7

 

P:巨細胞性動脈炎の患者

E:トシリズマブ

C:プラセボ

O:12週時点での寛解率(トシリズマブの効果)

 

  1. セッティング

単施設(スイスのBern大学病院)

 

2.研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど

治験第2相試験、二重盲検プラセボによるランダム比較試験

(新規・再発性のGCA患者を2:1でTCZ (8mg/kg)またはプラセボを静脈投与する群に割り付け)

 

3.Population、およびその定義

スイスのBern大学病院において1990年のGCAACR基準を満たす新規・再発の患者

(除外基準:50歳未満、コントロール不良な併存症がある、ステロイド治療が必要な他の疾患がある、activeな感染症がある、以前に生物学的製剤の使用歴がある)

側頭動脈生検 and/or MRAで血管炎の存在を確認

 

4.主な要因、および、その定義

TCZ (8mg/kg)/4weeksで静脈投与。52週まで4週間毎に13回の投与。

試験プロトコールで定義されたシェーマに基づいてPSL減量。

 

体重50kgの場合

PSLを1mg/kg/dayより開始。          50mgで開始

8週まで0.1mg/kg/weekで減量。          8週で15mgまで減量

8-12週は0.05mg/kg/weekで減量。

12週時点で0.1mg/kg/day             12週で5mgまで減量

その後は毎月1mgずつ減量し、PSL0mgにする。    32週でoff

 

再燃時はPSL増量

 

  1. Control、および、その定義

プラセボ

PSLは同様に漸減

 

  1. 主なアウトカム、および、その定義

Primary endpoint 12週時においてPSL0.1mg/kg/dayでCRを達成した患者の割合

Secondary endpoint 52週時点で再発していない患者の割合

寛解導入開始後最初に再発するまでの時間

累積のステロイド量

 

  1. 交絡因子、および、その定義

primary outcomeの評価の際のみ、年齢、性別、base lineの血沈、CRPで調整

 

  1. 解析

Primary outcome、secandary outcomeのリスク差を95%信頼区間、Fisher,s exact testで解析した。交絡因子(年齢、性別、base lineの血沈、CRP)で調整し、ロジスティック回帰分析を行った。Kaplan-meier生存曲線で再燃しなかった生存期間とPSL freeになるまでの生存期間を示した

 

  1. 結果
  •  2012年3月より2014年9月の間に80例がノミネート。その内、30例が治験に参加。
  •  20例がTCZ+PSL、10例がPlacebo+PSL。TCZ群 16例 (80%)とplacebo群7例(70%)が新規発症。
  •  TCZ群、20例中17例(85%) 、placebo群10例中4例(40%)がweek 12までにCRを達成。

(risk difference 45%, 95% CI 11–79; p=0·0301)。

  • week 52までの無再発率はTCZ群で17例 (85%)、placebo群で2例(20%)

(risk difference 65%, 95% CI 36–94; p=0·0010)。

  •  52wks後の累積PSL投与量はTCZ群で43mg/kg、placebo群で110mg/kg (p=0·0005)。
  •  TCZ群の7例(35%)、placebo群の5例(50%)は重症のadverse eventが起きた。

 

  • どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?
  • 保険適応外。現状で使用は困難だが、どうしてもPSLが漸減出来ない症例とかには良いかも。
  • 通常のステロイド量を使うなら寛解導入にはあまり必要ないのでは?感染症を考えると。

今後一般的なステロイド量による治療とrapid taper PSL+TCZによる治療の比較があれば。

  • 維持療法におけるTCZによるPSL漸減・中止効果の報告が期待される(個人的には)

 

  • Limitation、弱点
  • 長期予後に関しては不明(TCZで血清マーカーがマスクされているだけの可能性は?)
  • 寛解・再燃の定義にCRP、血沈があるが、TCZ使用下で血清マーカーで評価してよいのか
  • TCZ使用の炎症反応を見ると医療者は盲検出来ていないに等しいのではないか。
  • 離脱者が多い
  • Nが少ない。
  • ランダム化で割り付けてはいるが、プラセボとの患者背景は調整しきれていない
  • PSL漸減速度が早く、実臨床的には評価しづらい。
  • AZA、MTXなどの他の免疫抑制薬との比較はない。

 

  • 利点・好ましい点
    • GCAとTCZの初めてのRCT。盲検下。
    • Primary outcomeを明記。
    • サンプルサイズを計算している(正しいかどうかは不明)
    • TCZの有効性を見るためのセッティング

上級医のコメント

l  事前登録している2nd endpointである3つの評価タイミングが12wから52wへと延ばされている。12wでは望ましい結果がでなかったこと、maintenanceの意味合いを論文に入れたかった、といった思惑が働いた可能性がある

l  PSL漸減速度が通常の診療より速いため再燃がしやすい状況での結果であり、適応には注意を要する。

l  実際の臨床でTocilizumabを使用する場合は難治例や再燃例へ適応することが想定される。しかし、今回は7-8割が初発であるため今回の結果を活かし方は難しい。

担当:石井 翔

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