『Non–TNF-Targeted Biologic vs a Second Anti-TNF Drug to Treat Rheumatoid Arthritis in Patients With Insufficient Response to a First Anti-TNF Drug : A Randomized Clinical Trial』
Jacques-EricGottenberg et.al
JAMA 2016/Sep.20 Vol.316 No.11/1172-1180
P:1stBioの抗TNF製剤にて効果不十分だったRA患者
E:2ndBioを非TNF製剤きりかえた治療
C:2ndBioもTNF製剤で治療
O:24週後のDAS28-ESRの改善率
- セッティング
フランス国内47施設(Club des Rhumatismes et Inflammation)
2009年12月から2012年8月にかけて登録された患者
- 研究デザインの型
多施設共同、オープンラベル、平行群間、ランダム化試験
ROC(Rotation or Change)試験 観察期間は12ヶ月
- Population、およびその定義
ACR1987 RA分類基準、骨びらんの有無、DAS28-ESRが3.2以上、
開始4週間以上前からPSL(15mg/日以下)、DAMARDsが一定量
除外基準:1st Bioが有害事象で中止、TNFを2剤以上使用歴、
非TNFの使用歴、感染症あり、5年以内の癌病歴、妊婦・授乳婦
- 主な要因、および、その定義
非TNF群 ABT:体重にあわせ500~1000㎎(初回、2週、4週以降4週に1回)静注
RTX:1000㎎(初回、2週後)
TCZ:8㎎/㎏(毎月1回)静注
- Control、および、その定義
TNF群(1st とは異なるもの) ADA:40㎎を2週毎
CZP:400㎎(初回、2週、4週)以降200㎎を2週毎
ETN:50㎎を週1回
IFX: 3㎎/㎏(初回、2週、6週以降8週に1回)
内服ステロイドの用量調節、関節内注射は両群で可能
無効例、有害事象例、患者の希望により中止例を脱落とした
- 主なアウトカム、および、その定義
24週目のEULARのRA分類(2010?)によるDAS28-ESRの改善率
DAS28が1.2以上低下し、3.2以下になった症例➡反応良好
0.6以上低下し、5.1以下になった症例➡中等度反応と定義
- 交絡因子、および、その定義
患者背景に差はなし(Table1)
- 解析
多変量解析:混合ロジスティック回帰モデルにて12、24、52週の2群間の差
差がでないときはウィルコクソン検定
- 結果
- 300人を1:1にランダム化、解析対象は各群146人
【非TNF】ABT33人、RTX41人、TCZ70人、
【TNF】ADA57人、CZP23人、ETA53人、IFX8人
- 24週時点での反応良好・中等度反応の割合は【非TNF】101人、【TNF】76人
オッズ比2.12(95%CI 1.31-3.46)絶対差17.6%(95%CI 6.4-28.8%)
➡有意差あり
12週、52週時点でも有意差あり(Table2・Figure2)
- HAQは有意差なし(Figure2)
- 治療継続率も非TNF群の方がよい
- 非TNFの各薬剤間では24週時点では有意差なし
- どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?
- RTXはRAに対し国内適応外
- CRPは2群間で有意差がでなかった(TCZの有無は影響しない)
- 患者背景(経済的余裕や治療の積極性)によってはtryしやすいが副作用に注意が必要
- Limitation
- 盲検化されていない
- GLMおよびJAKが含まれていないためそれらの位置づけをどうするか
- MTXの併用に関して定義がない(約40%が非併用)
- 製剤ごとの比較ができていない
- 非TNF群は(点滴)静注投与だがTNF群はIFX以外自己注射のためアドヒアランスに差がある可能性あり
- 自分で考えた交絡因子
- 既往・合併症の有無
- この論文の弱点
- DMARDsの選択は医師の裁量
- 安全性の評価ができていない(AEの細かな解析をしていない)
- 理解できなかった点
- 「constrained longitudinal analysis」➡制約付き経時データ解析
ベースラインが異なる2群の比較をする場合、交絡因子となるものを除くために真のベース
ラインを平均値として求め、ベースラインの差の調整をおこなったものを改めて解析したもの?
➡交絡因子への影響をなくすため?
- 好ましい点
- Primary endpoint以降もf/uしている(長期投与データ)
- 市場に出ている製剤を幅広く網羅している
【上級医のコメント】
- Openラベルであり、アウトカム評価へのバイアスは生じうる。
- Inclusion criteriaの1つにErosionがある症例としており、比較的進行が速い患者さんがエントリーされている。また、前治療が効果不十分と判定した期間が記載がなく、群によりキャラクターがばらついている可能性は否定できない。
- NON-TNFの約半分がRTXであり、日本での適応は難しい。
担当:櫻井 康亮