関節リウマチ患者の特性は治療の選択に影響しうるか、nonTNF製剤をより有害に見せうるか?【Journal Club 20171220】

Patient characteristics influence the choice of biological drug in RA, and will make non-TNFi biologics appear more harmful than TNFi biologics

Frisell T1, Baecklund E2, Bengtsson K3, Di Giuseppe D1, Forsblad-d’Elia H4, Askling J1,5; ARTIS Study group

2017 Dec 13. pii: annrheumdis-2017-212395.

P Swedish patients with RA intiating bDMARD
E: non TNFで治療された患者
C: TNFで治療された患者
O: 影響を及ぼしたpatient characteristics

 

1.セッティング:どのような場所で研究したか?
2011年〜2015年の間に1stか2ndバイオを開始されSwedish Rheumatology Quality register (SRQ)に登録された患者

2.研究デザインの型: 後ろ向きコホート研究

3.Population、およびその定義
SRQ:生物学的製剤で治療を受けた関節リウマチ患者95%以上が含まれ,疾患活動性と治療内容,HBV,HCV,結核罹患歴が記録されたナショナルデータ.

4.主な要因、および、その定義: Non TNF bDMARDs (abatacept,rituximab,tocilizumab)

5.Control、および、その定義: TNF

6.主なアウトカム、および、その定義:
First Bio選択時のPatientcharacteristic
Second switch時のPatientcharacteristic
認容性,有害事象
以下patient characteristic
年齢,性別,社会背景(最終学歴,出身地),RF,罹病期間,HAQ,DAS28,VAS,NSAIDs,ステロイド,csDMARDsの併用の有無,疾患活動性は治療開始前(–90日〜14日内測定された).5年以内の関節外科治療歴,慢性肺疾患,ACS
病歴において重症感染症(resent:1年,non resent:1年〜5年),悪性腫瘍(resent:5年,non resent:5年以上)とした.
患者の健康状態の指標として1)入院した日数,2)25〜65歳の者で失業や病気による休業を要した日数,3)医療費合計

7.交絡因子、および、その定義:
年齢,性別,地域

8.解析
2項ロジスティック回帰解析,線形回帰解析ブートストラップ法

9.結果
First Bio選択時のpatient characteristic
・2015年12月から2011年1月に1stBioを導入された関節リウマチ患者6481名.
・多くがTNF(n=5307,82%)でETN(n=1502,TNFの28%)が最も多く,GLM(n=745,14%).
・もっと使用されたnonTNFはRTX(n=655,全体の10%)だった.
・Table1)nonTNFで治療開始された群は年齢が高く,学歴が低い傾向にあった.
・RTX群はTNF群と比較して血清反応陽性,罹病期間が長く,ESR値が軽度高かった.TCZ群は疾患活動性が高かった.NonTNFはMTXの併用が少なかった.ABT群,RTX群は病気を有していた群が多かった.RTXは特に最近と最近でない悪性腫瘍罹患歴が高かった.
・TNF群のなかではIFXはやや高齢で疾患活動性が高い傾向だった.

First Bioからスイッチ時のpatient characteristic
・1stBioからスイッチされ1年以内に次のBioにスイッチされた2829名を認めた.
・中止理由がいずれでも2nd BioはTNFが選択されることが多かった.N=1846 65%
・RTXとABT群では最近の重症感染症歴を持つもんが多かった.RTXは悪性腫瘍罹患歴を持つ者が高かった.NonTNF群のはスイッチ時の活動性が高い傾向にあった.TCZは効果不十分例で,ABTは有害事象でスイッチされた症例が多かった.
・IFXは平均より学歴が低い傾向,失業率が高く,乾癬の割合が少なかった.ETNは医療費が少ない傾向だった.

安全性と効果
・年齢と性別は薬剤1年以上の継続率を除くすべての者の予測因子であった.
・HAQはMACEと関連を認め,DAS28はEULAR good responseと相関していた.グルココルチコイドの使用は有害事象と,EULAR good responseに到達しずらい傾向だった.感染症罹患歴と心疾患歴はそれぞれの疾患のリスクをあげた.
・RTX,ABT群は安全性とEULARresponseでbiasを認めたが,2ndスイッチ時には認めず,背景群が類似していることが疑われた.

10.どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?(箇条書きにて記載。論文中の記載から抜粋、および、自分考えたものを記載)
・RTXは併存疾患が多い者や高齢者で使用されている傾向が高く,TCZについては疾患活動性が高い群が多かったため,安全性や認容性の面で不利であった可能性がある.
・2ndbioの選択で悪性腫瘍罹患歴者にRTX,感染症罹患歴者にABTが選択される傾向にあったのはACRguidelineでvery lowで推奨されている可能性があった.

12.Limitation(箇条書きで)
・年齢,性別,地域性で交絡調整を行っており,疾患活動性や併存疾患での交絡調整が不足している.
・喫煙歴やBMIなどのデータがない.Swedenは国民保険で医療費が支払われるため,他国における薬の選択とは異なる可能性があること.医療従事者の薬剤選択時の意見が不明,施設のかたよりが不明.

13.自分で考えた交絡因子:-

14.この論文の弱点(自分で考えたものを記載)
解析法で工夫しているのかもしれませんが,primary outcome を設定していないこと

15.理解できなかった点 相関を見るような統計的解析法があるのか.

16.好ましい点
・nが多い
・ナショナルデータであリ,欠損がない.
・セレクションbiasがない.

 

担当:小黒奈緒

 

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