ADAM-17/Notch Signalingを標的にすることはマウスモデルにおいて全身性強皮症の進展を阻害する【Journal Club 20180117】

Targeting ADAM-17/Notch Signaling Abrogates the Development of Systemic Sclerosis in a Murine Model.

Niloufar Kavian, et al.

2010 Nov;62(11):3477-87

【目的】全身性強皮症(SSc)はさまざまな臓器の線維化,血管の過剰な反応,免疫学的な調整不全などによって特徴づけられる.Notch signalingは線維芽細胞の恒常性や血管新生,リンパ球の発達に影響することが知られている.われわれはこの研究でヒトとマウスのSScのNotch経路の役割を調べた.

【方法】SScはBALB/cマウスにおいて6週間毎日HOCIを皮下注射することによってつくられた.Notch経路の活性化はSScマウスとsclerodermaの患者の組織において調べられた.SScマウスはNotch経路の特別なインヒビターであるγ-secretase inhibitor DAPTによって処理されるものと,そうでないものとでわけられ,疾患の重症度が評価された.

【結果】HOCIに暴露されたマウスは,肺線維症と抗DNA topoisomeraseⅠ抗体をもつびまん皮膚硬化型SScに進展した.Notch経路は皮膚や肺の線維芽細胞,SScマウスの脾細胞,sclerodermaの患者からの皮膚生検組織において,過剰に活性化されていた.Notch経路において関与する蛋白分解酵素であるADAM-17は,活性酸素種の局所的な産生に反応して,マウスと患者の皮膚において発現していた.HOCIを投与されたマウスにおいて,DAPTは皮膚と肺の線維化の進展を著明に減らしており,皮膚線維芽細胞の増殖と内皮細胞のH2O2産生を減少させていた.そして,抗DNA topoisomerase Ⅰ抗体の産生を阻害していた.

Figure 1
・Notchは皮膚,肺,線維芽細胞,HOCIで誘導されたSScマウスにおける脾臓B細胞などにおいて過剰に活性化される.皮膚において,この活性化はγ-secretase inhibitorによって阻害される(Figure 1A, 1B).
・限局性強皮症(morphea)あるいはびまん皮膚硬化型SSc患者の皮膚においてNotchは活性化される(Figure 1C, 1D).

Figure 2
・Notch阻害はSScのマウスにおける皮膚と肺の線維化を減少させる.

Figure 3
・Notch阻害はex vivoにおけるHOCIで誘導されたマウスからの血清での増殖前の影響を減少させる.そして,皮膚の線維芽細胞の増殖率を正常化させ,Ⅰ型コラーゲン産生を減らす.また,HOCIで誘導されたSScのマウスの皮膚におけるα-SMA発現を減らす.

Figure 4
・Notch 阻害は蛋白質過酸化物の血清濃度を減少させ,HOCIへの暴露されたマウスからの血清によって誘導された内皮細胞のH2O2産生を減らす.そしてin vitroでの内皮細胞によるH2O2産生を直接的に減らす(Figure 4A-4C).
・in vitroでNACによる処理は,HOCIで誘導されたSScマウスからの皮膚線維芽細胞におけるNotch活性化を減らす.一方で,正常線維芽細胞において外因性のH2O2はNotchを活性化させる(Figure 4D, 4E).

Figure 5
・Notch経路を活性化させるADAM-17はSSc患者とマウスからの皮膚において上方調節されている.

Table 1
・Notch阻害はHOCIで誘導された自己免疫反応を減少させる.

【結語】われわれの結果はSScにおける,活性酸素種によって活性化されるADAM-17/notch経路の要となる部分を示している.この経路の阻害は生命を脅かす疾患の新しい治療となるだろう.

・重要なポイントはどこか.
線維化の病態においてNotch signalingがどのように関与しているのかを示している
こと.
・ユニークなポイントはどこか.
Notch signalingにADAM-17が関与していること.
・今後の研究展開や論文に対する検討課題.
Notch signalingの過程で,ADAM-17の発現については述べられているが,どのような
機能を果たしているかの詳細は明らかになっていないこと.
・自分なりの疑問点.
ADAM-17と活性酸素種との関連について.

担当:前岡愛里

 

 

 

 

 

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