抗TNFα治療不耐例に対するシルクマブの有効性および安全性試験【Journal Club 20180131】

Efficacy and safety of sirukumab in patients with active rheumatoid arthritis
refractory to anti-TNF therapy (SIRROUND-T): a randomised, double-blind, placebo-controlled, parallel-group, multinational, phase 3 study.

2017 Mar 25;389(10075):1206-1217

 

P:TNFα阻害薬で効果不十分のRA患者
E:シルクマブ(100㎎/2週毎)を投与した
C:シルクマブを投与しなかった/(50㎎/4週毎)投与した
O:16週後のACR20の改善率

 

1.セッティング:どのような場所で研究したか?
無作為化二重盲検プラセボ対照多施設共同第Ⅲ相国際共同試験(20か国 183施設)

2.研究デザインの型
RCT

3.Population、およびその定義
【選択基準】
・18歳以上、RAの診断(1987分類)が3ヶ月以上前、疼痛関節4/68以上、腫脹関節4/66以上
・1剤以上TNFにて無効例(2剤以上の場合は条件付でTNF+非TNFの使用歴も可)
・10㎎未満のステロイド(2週間前以上前~)、csDMARDs(4週間前以上前~)の使用は可
・CRP 0.8㎎/dLもしくはESR 28mm/h、
・抗CCP抗体陽性もしくはRF陽性もしくは手足の骨びらんがレントゲン上で確認できる

【除外基準】
・各Bio製剤で一定期間以上投与継続となっていた症例
・注射剤のステロイド、1年以内のレフルノミド使用歴、異常検査値
・結核、癌、HIV、B肝、C肝等の既往歴

4.主な要因、および、その定義
シルクマブ 100㎎群/2週毎 Control群と1:1:1で割付

5.Control、および、その定義
プラセボを2週毎 皮下注
シルクマブ 50㎎/4週毎 (皮下注は2週毎)

6.主なアウトカム、および、その定義
【primary】
16週後のACR20の改善率
【secondary】
(Major)24週後のACR50、HAQ-DI、DAS-28(CRP)の改善率
(Other)24週後のHAQ-DI、ACR20、ACR70、ACR90、SDAI、CDAI、
寛解率(ACR/EULAR基準)、朝のこわばり

7.交絡因子、および、その定義
RCTのためなし

8.解析
コクラン-マンテル-ヘンツェル検定

9.結果(箇条書きで、大事なところのみ)
・患者背景は3群間に差はなし(Table1)
・346人は2剤以上のTNFの使用歴、341人で非TNFの使用歴あり
・52週間で投与継続できた患者は50㎎群、100㎎群ともに75~6%(Figure1)
・シルクマブ投与群はプラセボ群にくらべてACR20の改善率に有意差を認めた(Figure2)
・HAQ-DI、ACR50、70、DAS-28でもプラセボ群との有意差を認めたが、ACR90では100㎎群のみ有意差を認めた(Table3)
・寛解率は100㎎群のみ有意差を認めた(Table3)
・シルクマブ群で有害事象および重篤な有害事象(投与中止含む)として多かったのはどちらも感染症であった(感染症の種類は肺炎が多い)(Table4)
・結核、日和見感染はなし
・死亡は全体で5人いたが、全例24週後以降(脳血管障害、心筋梗塞、乳がん、突然死、肺炎)肺炎はシルクマブとの因果関係は否定できないと結論
・注射部位反応は100㎎群に多い→ダブルダミー法のため
・シルクマブ群で検査値異常を認めるが投与量に相関は認めなかった
・試験中、HLの治療介入(スタチン投与)が認められていたが実施したのは46/836人
(開始時695人がスタチン未服用)
・製剤抗体検出は50㎎群16/386人、100㎎群6/394人
・中和抗体陽性は4人(全て50㎎群)

10.どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?(箇条書きにて記載。論文中の記載から抜粋、および、自分考えたものを記載
・MTXの投与量に左右されない可能性が高いため、MTXが使用できない患者において
・IL-6製剤内での選択肢が増える。そのために、先行品(トシリズマブ、サリルマブ)との相違点を評価する必要がある

11.Limitation(箇条書きで)
・疾患活動性が高い患者がエントリーされている
・本試験はBioナイーブの患者がエントリーされていないため、シルクマブが第一選択薬として推奨できない
・実薬投与群はⅡ相試験の結果より設定されたが、他の用量・投与間隔の検討がされていない

12自分で考えた交絡因子
・その他合併症

13.この論文の弱点(自分で考えたものを記載)
・50㎎群と100㎎群で有意差を認めるものが少ない
➡臨床的に有効な至適用量が不明確
・IL-6製剤であるためCRPに差がでるのは容易に予想ができる
➡DAS-28CRP等は評価しづらい

14.理解できなかった点
・Primaryは12週でもよかった?
(他のBioやJAKの試験の多くは12週でPrimary outcomeとしている)
・レスキューが18週、全例実薬投与下が24週と間6週は短いのでは?
➡もっと早くレスキューしてあげてもよかったか

15.好ましい点
・Primary outcomeを宣言している点
・過去IL-6(トシリズマブ)を投与した患者でもエントリー可能であり、かつ群間に差がない

 

担当:櫻井康亮

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私たちと一緒に学びませんか?

医局員募集要項はこちら


昭和大学病院
〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8
アクセスマップ
電話:03-3784-8000(代表)

[初 診]月曜~土曜 8:00~11:00
[再 診]月曜~土曜 8:00~11:00(予約のない方)
[休診日] 日曜日、祝日、創立記念日(11月15日)、年末年始