High-risk echocardiographic features predict mortality in pulmonary arterial hypertension
Christopher Austin, MD, a Charles Burger, MD, b Garvan Kane, MD, PhD, c Robert Safford, MD, PhD, Joseph Blackshear, MD, a Ryan Ung, DO, a Jordan Ray, MD, a Ali Alsaad, MD, d Khadija Alassas, MD, a and Brian Shapiro, MDa Rochester, MN; and Jacksonville, FL
Am Heart J. 2017 Jul;189:167-176
P:肺高血圧症臨床分類(ニース分類)グループ1の患者
E:心臓超音波ハイリスク所見
C:
O:生存率
<セッティング>
Mayo clinic Floridaで診断検査された患者カルテから抽出した.
<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
多施設後ろ向きコホート研究
<Population、およびその定義>
2003年12月から2012年12月にMCFで心臓超音波検査,右心カテーテル:RHCで検査されたニース分類:グループ1のPAH患者175名
- RHCの血行動態指標で平均肺動脈圧:mPAP≧25mmHg以上,肺動脈節乳圧:PCWP≦15mmHg,肺血管抵抗:
- PVR≧3Wood単位以上で呼吸器科または循環器科専門医によって診断された.
新規患者で薬剤治療歴の無いもの,完成されたPAHで治療強化目的に紹介された患者も共に組み入れられた.
<測定項目>
6分間歩行:6MWD,BNP含む一般採血検査,呼吸機能検査,心臓超音波検査
RHC(m右房圧:RAP,mPAP,PCWP,心拍出量:CO)が施行された.
左心カテーテルが施行された患者は左室拡張末期圧も測定された.
REVEAL risk score が各々算定された.
Mayo clinic のREDCap edectronic data capture toolを用いてデータ収集された.
心臓超音波検査:TR trivial ,mild, moderate, severeにグレードされた.
MildTR以上は機能的逆流弁口>0.7mm,肝静脈逆流を有したものとした.
IVCは右房接合部から1〜2cm以内の部位の長軸で,呼吸状態は安静時と吸気時のsniff時に測定された.
推定右房圧はASEガイドライン2005年に従ってIVCの呼吸性変動を用いて測定された.
心嚢液の有無は,心外膜と心膜の間のエコフリースペースで評価された.
右房径
収縮期三尖弁移動距離:TAPSE(正常範囲16—30mm,16mm以下右室収縮機能低下),
右室内腔面積変化率:FAC(35%以上で正常)
RIMP=RV tei index (0.4以下正常)は2010年のASEガイドラインに則り測定された.
単独の評価者によって臨床情報は盲検化されて評価された.
<生存の評価>
バイタルと死亡した人はsocial securety death indexの電子情報より得られた.
当該施設で肺移植または肝移植を受けた者は手術施行日に打ち切りされた.Follow up期間は超音波検査施行された日から死亡または移植または直近の診療や入院,検査日程,電話連絡で見積もられた.
<解析方法>
連続変数はmean±SD,カテゴリ変数は%,
3年生存時の超音波検査によるハイリスク所見のそれぞれのハザード比を単変量解析で求めた.
単変量解析において有意な因子とされた(p<0.5)ものをCOX回帰分析を用いて多変量解析された.
連続変数はの比較は一元配置分散分析がおこなわれた.多重比較検定はX2乗検定が行われた.
カプランマイヤー法を用いて一年と三年の生存曲線が描かれ,ログランク検定で比較された.ROC曲線を用いて超音波のハイリスク所見が検討された.
<結果>
Table1.)MCFコホートは175名が組み込まれた.平均年齢は60±13才で女性が多く122名(69%),平均観察期間は141±124週間であった.特発性PAH,膠原病関連PAHの割合が多かった.多くの患者がNYHA機能分類Ⅲ度(高度な身体活動の制限,安静時は無症状)であった.REVEALスコアは平均9であった.83名(47%)の患者が死亡または移植で打ち切られた.そのうち2名が肺移植,5名が肝移植であった. 無イベント生存率は1年で78%,3年で61%,5年で41%であった.
Table2.)RV Tei-index>0.4,RAV>15mmHg,TR>moderate,心嚢液貯留の存在が有意な単変量解析において有意と得られた.多変量解析ではRAV>15mmHg,心嚢駅の存在,TR>moderate以上が死亡リスクと相関する結果となった.
Table3.)試験開始時のハイリスク超音波所見の個数とcharacteristicを解析した.6MWDと心拍数,収縮期血圧,BNP,RHCのPVR,COそしてREVEALスコアが有意に相関した.また,先の単変量解析で有意とならなかった超音波所,見RIMP,TAPSE,FAC,RA area,推定mPAPも有意差が得られた.
Table4.)検証コホートとしてのMCRコホートのpatient characteristicをtable4に示す.MCR,MCFの背景に有意差は認めなかった.Supplemental Table4.1
Figure3.)MCFとMCRコホートそれぞれに対しハイリスク所見の個数とカプランマイヤー曲線が描かれ,ハイリスク所見の個数と1年,3年共に有意な死亡リスクまたは肺移植は相関した.
Table5.)ROC解析を施行した.比較としてREVEAL scoreの結果を出した.REVEALスコアのカットオフ値は1年生存率15-30%と相関した.ハイリスクエコー所見2つ以上を有する患者の1年死亡リスクはAUC0.75 感度75%と高かったが,特異度14%であった.REVEALスコアのカットオフ値は感度86%,特異度60%だった
<Limitation>
TRのグレード.TRのドップラーシグナルを描出することが困難のためModereteからSevereの判断が困難.
TAPSEやRV strainなどは全例は取られていなかった.
15年という間をかけて集めた集団のため時代による治療の変遷を解析に加えられていない.
70%がNYHAⅢ度以上であり,紹介バイアスがあった可能性前向きでの検討がされていない.
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
これまで単独のエコー所見の有無が死亡リスクと相関する報告はあったが,複数個組み合わさることでリスクがましていくという報告は初めてだった.
<自分で考えた交絡因子>
治療内容,合併症
<この論文の弱点>
Inclusion,Exclusionが曖昧
<この論文の好ましい点>
超音波検者が盲検化されている.
<この論文にて理解できなかった点>
validation cohort
担当:小黒奈緒