関節リウマチ患者における抗フラクタルカインモノクローナル抗体「E6011」の安全性、薬物動態、有効性試験(第Ⅰ/Ⅱ相)【Journal Club 20190327】

Safety, pharmacokinetics, and efficacy of E6011, an antifractalkine monoclonal antibody, in a first-inpatient phase 1/2 study on rheumatoid arthritis

 

著者 Yoshiya Tanaka, Tsutomu Takeuchi, Hisanori Umehara, Toshihiro Nanki, Nobuyuki Yasuda,

Fumitoshi Tago,Makoto Kawakubo, Yasumi Kitahara, Seiichiro Hojo, Tetsu Kawano and Toshio Imai

2018 Jan;28(1):58-65.

サマリー
E6011はRA患者において安全かつ忍容性が良好であり、E6011が活動的なRA患者において有効な臨床反応を有することを示唆している

P: 関節リウマチ患者
E: E6011を投与
C:
O: 安全性、薬物動態、有効性

<セッティング>どのような場所で研究したか?
・日本国内、多施設共同

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
非盲検用量漸増Ⅰ/Ⅱ相試験(前向きコホート?)

<Population、およびその定義>
・ACR1987およびACR/EURLA2010で診断された20-64歳のRA患者
・選択基準:圧痛関節4/68以上、腫脹関節4/66以上、CRP0.6mg/dL以上、
ESR28mm/h以上、MTX or TNF阻害薬を3ヶ月以上使用
・除外基準:非TNF阻害薬のbio使用歴、2剤以上のTNF阻害薬使用歴、過去TNFの有害事象にて投与中止、E6011投与開始4週間以内にDMARDs(MTX、BUC、SASP)の用量が変更、それ以外のDMARDsの使用の中止不可能、ClassⅣ、他の炎症性疾患

<主な要因、および、その定義>      
・E6011を100mg群、200mg群、400mg群にわけ、それぞれ0週、1週、2週、以降2週毎計7回皮下投与

<Control、および、その定義>
・なし

<主なアウトカム、および、その定義>
・アウトカム
・安全性:AE、検査値、バイタルサイン、12誘導心電図、胸部X線、神経学的所見、CD4陽性リンパ球細胞数で評価
・薬物動態:7回のE6011投与前と12週目にPK採血
・有効性:ACR20・50・70、EULRA寛解基準、DAS28-ESR(寛解・低疾患活動性)
ベースラインから12週まで変化率および12週時点での評価

<交絡因子、および、その定義>
・性別、年齢、罹病期間

<解析方法>
・安全性解析:AE発生率を被験者の割合(%)
・薬物動態解析:血清E6011濃度の要約統計量を計算
・有効性解析:連続変数、欠損データ⇒LOCF解析
            二項変数⇒NRI法 

<結果>
・53人が試験の説明を受け37人がエントリー
・12人に「E6011」100mgを12週間投与⇒全員完遂   
・100mg群の安全性が確認できた後、200mgを15人に12週間投与⇒12人完遂
・200mg群の安全性が確認できた後、400mgを10人に12週間投与⇒8人完遂

【安全性 Table2】
・全群とも半数以上でAEが出現⇒治療に関連すると考えられるものは1/3~1/4、
・試験期間中のSAEは膝蓋骨骨折、自己免疫性1型DM⇒DMは治療に関連するものに分類
・死亡例なし、胸部X線、神経学的所見、CD4陽性リンパ球細胞数等の評価項目にも変化なし

【薬物動態 Figure2】
・投与2週目に定常状態に達し、12週間維持
・用量に比例して血中濃度は高値

【有効性 Figure3】
・圧痛関節数、腫脹関節数は100mg群、200mg群、400mg群ともに改善
・ACR20、50、70達成率は100mg群75.0%、33.3%、8.3%、200 mg群66.7%、20.0%、13.3%、400 mg群60.0%、30.0%、20.0%。
・EULAR寛解基準「good response」は100mg群16.7%、200mg群20%、400mg群40%
・DAS28-ESRで「低疾患活動性or寛解」は100mg群16.7%、200mg群26.7%、400mg群40%

<メカニズム>
・E6011はフラクタルカインをターゲットとし、CX3CR1+炎症性単球/マクロファージの遊走、局所的蓄積、炎症性サイトカインの産生において重要な役割を果たす

<Limitation>
・Ⅰ相試験であるため、少人数での結果(現在Ⅱ相試験進行中)
・サンプルサイズが小さいためばらつきが大きい
・TNF以外のBio使用患者は除外されたこと
・選択基準にステロイドの用量基準がない
・安全性評価項目のL/D、BSなどの開示がない

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・Ⅰ相試験の結果であるため、Ⅱ相試験の結果次第で臨床に有用かどうかを評価すべきと考える

<自分で考えた交絡因子>
・既往歴、ステロイド量

<この論文の弱点>
・高齢者を除外しているため、エントリー可能年齢を上げた場合、AEの発生に影響が出る可能性がある
・VASの評価がない⇒非盲検だからなくてもよい?
・3群間の割り付け方法が不明

 

担当:櫻井康亮

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