Safety, pharmacokinetics, and efficacy of E6011, an antifractalkine monoclonal antibody, in a first-inpatient phase 1/2 study on rheumatoid arthritis
著者 Yoshiya Tanaka, Tsutomu Takeuchi, Hisanori Umehara, Toshihiro Nanki, Nobuyuki Yasuda,
Fumitoshi Tago,Makoto Kawakubo, Yasumi Kitahara, Seiichiro Hojo, Tetsu Kawano and Toshio Imai
Mod Rheumatol. 2018 Jan;28(1):58-65.
サマリー
E6011はRA患者において安全かつ忍容性が良好であり、E6011が活動的なRA患者において有効な臨床反応を有することを示唆している
P: 関節リウマチ患者
E: E6011を投与
C:
O: 安全性、薬物動態、有効性
<セッティング>どのような場所で研究したか?
・日本国内、多施設共同
<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
非盲検用量漸増Ⅰ/Ⅱ相試験(前向きコホート?)
<Population、およびその定義>
・ACR1987およびACR/EURLA2010で診断された20-64歳のRA患者
・選択基準:圧痛関節4/68以上、腫脹関節4/66以上、CRP0.6mg/dL以上、
ESR28mm/h以上、MTX or TNF阻害薬を3ヶ月以上使用
・除外基準:非TNF阻害薬のbio使用歴、2剤以上のTNF阻害薬使用歴、過去TNFの有害事象にて投与中止、E6011投与開始4週間以内にDMARDs(MTX、BUC、SASP)の用量が変更、それ以外のDMARDsの使用の中止不可能、ClassⅣ、他の炎症性疾患
<主な要因、および、その定義>
・E6011を100mg群、200mg群、400mg群にわけ、それぞれ0週、1週、2週、以降2週毎計7回皮下投与
<Control、および、その定義>
・なし
<主なアウトカム、および、その定義>
・アウトカム
・安全性:AE、検査値、バイタルサイン、12誘導心電図、胸部X線、神経学的所見、CD4陽性リンパ球細胞数で評価
・薬物動態:7回のE6011投与前と12週目にPK採血
・有効性:ACR20・50・70、EULRA寛解基準、DAS28-ESR(寛解・低疾患活動性)
ベースラインから12週まで変化率および12週時点での評価
<交絡因子、および、その定義>
・性別、年齢、罹病期間
<解析方法>
・安全性解析:AE発生率を被験者の割合(%)
・薬物動態解析:血清E6011濃度の要約統計量を計算
・有効性解析:連続変数、欠損データ⇒LOCF解析
二項変数⇒NRI法
<結果>
・53人が試験の説明を受け37人がエントリー
・12人に「E6011」100mgを12週間投与⇒全員完遂
・100mg群の安全性が確認できた後、200mgを15人に12週間投与⇒12人完遂
・200mg群の安全性が確認できた後、400mgを10人に12週間投与⇒8人完遂
【安全性 Table2】
・全群とも半数以上でAEが出現⇒治療に関連すると考えられるものは1/3~1/4、
・試験期間中のSAEは膝蓋骨骨折、自己免疫性1型DM⇒DMは治療に関連するものに分類
・死亡例なし、胸部X線、神経学的所見、CD4陽性リンパ球細胞数等の評価項目にも変化なし
【薬物動態 Figure2】
・投与2週目に定常状態に達し、12週間維持
・用量に比例して血中濃度は高値
【有効性 Figure3】
・圧痛関節数、腫脹関節数は100mg群、200mg群、400mg群ともに改善
・ACR20、50、70達成率は100mg群75.0%、33.3%、8.3%、200 mg群66.7%、20.0%、13.3%、400 mg群60.0%、30.0%、20.0%。
・EULAR寛解基準「good response」は100mg群16.7%、200mg群20%、400mg群40%
・DAS28-ESRで「低疾患活動性or寛解」は100mg群16.7%、200mg群26.7%、400mg群40%
<メカニズム>
・E6011はフラクタルカインをターゲットとし、CX3CR1+炎症性単球/マクロファージの遊走、局所的蓄積、炎症性サイトカインの産生において重要な役割を果たす
<Limitation>
・Ⅰ相試験であるため、少人数での結果(現在Ⅱ相試験進行中)
・サンプルサイズが小さいためばらつきが大きい
・TNF以外のBio使用患者は除外されたこと
・選択基準にステロイドの用量基準がない
・安全性評価項目のL/D、BSなどの開示がない
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・Ⅰ相試験の結果であるため、Ⅱ相試験の結果次第で臨床に有用かどうかを評価すべきと考える
<自分で考えた交絡因子>
・既往歴、ステロイド量
<この論文の弱点>
・高齢者を除外しているため、エントリー可能年齢を上げた場合、AEの発生に影響が出る可能性がある
・VASの評価がない⇒非盲検だからなくてもよい?
・3群間の割り付け方法が不明
担当:櫻井康亮