免疫チェックポイント阻害剤誘発による関節炎の臨床症状はレジメンによって異なる【Journal Club 20190626】

Clinical presentation of immune checkpoint inhibitor-induced inflammatory arthritis differs by immunotherapy regimen

Laura C. Cappelli

2018 Dec;48(3):553-557.

——————————————————-

<サマリー>
免疫チェックポイント阻害剤誘発の関節炎は様々な臨床症状を呈する可能性があり、使用するレジメンが関連する可能性がある。発症が小関節の場合は免疫チェックポイント阻害剤誘発であると診断されるまで時間を要する場合がある。

——————————————————-

P:免疫チェックポイント阻害剤を投与し、関節炎を発症したがん患者
E:単剤投与レジメン使用
C:併用療法レジメン使用
O:発症後の治療

 <セッティング>
 ジョン・ホプキンス大学リウマチ科
対象期間:2013.1.1~2017.7.1

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
後ろ向きコホート

<Population、およびその定義>
・18歳以上  
・対象期間に免疫チェックポイント阻害剤を投与され関節炎を発症(癌種は問わない)
・リウマチ専門医により、検査データと家族歴を含め包括的に関節炎を評価
・カルテより症状発現のタイミング、関節病変パターン、疾患活動性を抽出
・除外基準:既存の自己免疫性疾患がある患者、免疫療法の治験(盲検)中の患者、ベースライン時におけるデータ欠損患者

<主な要因、および、その定義>        
・抗PD-1(ニボルマブ/オプジーボ®、ペンブロリズマブ/キイトルーダ®)もしくは抗PD-L1(アテゾリズマブ/テセントリク®、デュルバルマブ/イミフィンジ®、アベルマブ/国内未承認)単剤療法

<Control、および、その定義>
・抗PD-1/CTLA-4(イピリムマブ/ヤーボイ®)併用療法

<主なアウトカム、および、その定義>
・関節炎発症後の治療介入

<解析方法>
・各レジメン群における患者データを連続変数はウィルコクソン順位和検定、カテゴリー変数はフィッシャー正確検定で解析
・チェックポイント阻害剤開始からirAE発症までの期間を箱ひげ図で表示
・関節炎発症と診断までの期間を、最初の関節病変間および他のirAEとの比較をKruska-Wallis検定で解析

<結果>
【Table 1】
・関節炎発症患者は30人(単剤レジメン:16人 併用レジメン:14人)
・癌種のその他:小細胞肺癌、直腸癌、リンパ腫、腎癌etc 様々
・併用レジメンは単剤レジメンより平均7.5歳若く(p=0.01)、メラノーマが多い(p=0.04)
・患者のリウマチ性疾患家族歴:RA、IBD、SLE、MG、JIA
・関節炎は全体の56.7%で両膝もしくは片膝が初発
→単剤レジメンは小関節からも発症する 併用レジメンはより膝関節からの割合が高い
・CRP:併用レジメンで高値  HLA B27:全例陰性
・抗CCP抗体、RF、ANA:単剤レジメンで陽性例あり
【Fig 1】
・(A):irAE発症までの時間経過で関節炎よりも大腸炎が早期にでてくる傾向発症までの期間は中央値で5か月、平均で6.2ヶ月
・(B):関節炎の発症と診断までの期間の差
小関節は膝関節と比較し、チェックポイント阻害剤としてのAEと診断されるまで10か月の差
【Table 2】
・ステロイド使用は24人、平均40mg(単剤レジメン:11人 併用レジメン:14人)
・10人が免疫抑制剤(MTX、TNF阻害薬)を追加投与
・併用レジメンはステロイド単独では効果不十分例が多い
・チェックポイント阻害剤中止後3ヵ月経過し症状が残存しているのは18人

<結果の解釈・メカニズム>
・チェックポイント阻害剤の異なるレジメンで治療された患者が異なる症状を呈したことで、特定のタイプの免疫活性化と表現型との間の関連を示唆している
・反応性関節炎のすべての症例が併用レジメン群でみられたが、要因としてチェックポイント阻害剤によるTh17細胞の活性化が関与している

<Limitation>
・関節炎のないチェックポイント阻害剤の投与患者が含まれていない
→他のirAE発症の患者と発生率、発生時期を比較できていない
・対象患者の関節炎の重症度にバイアスがあった可能性がある
→軽症患者は腫瘍内科で対応され、リウマチ医への紹介がない
・他のirAEにて免疫抑制療法がされていたために関節炎がマスクされた可能性がある

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・チェックポイント阻害剤による関節炎で膝関節などの大関節に症状がある場合は早期からMTX、TNFなどの免疫抑制療法を積極的に行うことを検討する
・単剤レジメン使用時、小関節に炎症が疑われる場合はirAEを鑑別から除外しないようにする
→早期に専門医へのコンサルトも検討
・投与開始5か月(中央値)で発症
・腫瘍随伴症候群による関節炎との相違点
【部位】 チェックポイント阻害剤:大関節に多い / 随伴症候群:小関節に多い 
【免疫学的所見】 チェックポイント阻害剤:RF、ANA陽性率5%未満
 随伴症候群:RF、ANA陽性率20%超

<自分で考えた交絡因子>
チェックポイント阻害剤開始前の癌薬物治療

<この論文の好ましい点>
・実薬対照の臨床試験患者も含めたこと

 

担当:櫻井康亮

 

 

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私たちと一緒に学びませんか?

プログラム・募集要項はこちら


昭和大学病院
〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8
アクセスマップ
電話:03-3784-8000(代表)

[初 診]月曜~土曜 8:00~11:00
[再 診]月曜~土曜 8:00~11:00(予約のない方)
[休診日] 日曜日、祝日、創立記念日(11月15日)、年末年始