当科スタッフ、若林邦伸医師が共同研究された「RPTPα Phosphatase Activity Is Allosterically Regulated by the Membrane-Distal Catalytic Domain.」が、本年4月発表のBiological Chemistryに掲載されました!!
下記リンクよりご覧いただけます!!
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32139509/?from_term=RPTP%CE%B1+Phosphatase+Activity+Is+Allosterically+Regulated+by+the+Membrane-Distal+Catalytic+Domain+&from_pos=1
下記は本文の要約です!!
受容体型プロテインチロシンホスファターゼ(RPTP)の一つであるRPTPαはSRCキナーゼを活性化する重要な調節因子として働き、癌細胞や肺線維症、関節炎の病態に関与している。RPTPの構造は細胞外領域、細胞膜貫通領域、D1(膜近位)およびD2(膜遠位)の2つの細胞内触媒ドメインで構成されている。そしてD2ドメインがRPTPαの主な調節機能をもつ考えられている。しかしRPTPα含めRPRPのD2ドメインの調節モデルは確立されていない。この研究ではD1とD2を含むRPRPαの細胞内領域の結晶構造を解析し、D2がD1活性をアロステリックに阻害することを明らかにする。D2ドメインのないRPTPαバリアントとD1/D2間のインターフェイス変異分析を用いることで、D2ドメインがRTPRαのホスファターゼ活性を阻害すること示し、D2の阻害効果を媒介する405PFTP408モチーフを特定した。 HEK293T細胞においてF406A/T407A RPTPα変異体(Phe406とThr407をそれぞれAlaで置き換え)を過剰発現させるとSRC活性化は増強された。これらの結果はRPTPαのD2ドメインが細胞内シグナル伝達を調節しているという我々の仮説を支持した。RPTPのアロステリック阻害剤の開発への関心は高まっているが、RPTPの検証されたアロスティック部位の情報は不足している。この研究結果は、RPTP-D2ドメインの調節機能を明らかにするだけでなくRPRPαを含むRPTPをターゲットとするケミカルプローブの発見に役立つ可能性のある結果である。