閉経後骨粗鬆症患者におけるデノスマブ と高容量テリパラチドの併用療法【Journal Club 20200729】

Combination denosumab and high dose teriparatide for postmenopausal osteoporosis (DATA-HD): a randomised, controlled phase 4 trial
閉経後骨粗鬆症患者におけるデノスマブ と高容量テリパラチドの併用療法:第4相RCT
Joy N Tsai, Hang Lee, Natalie L David, Richard Eastell, Benjamin Z Leder
Department of Medicine, Endocrine Unit, Massachusetts General Hospital, Havard Medical School, Boston, MA, USAHang
Lancet Diabetes Endocrinol. 2019 October ; 7(10): 767–775.

 


<本研究のサマリー>
閉経後骨粗鬆症患者69例に、テリパラチドを増量した(40μg)場合の骨量増強効果を標準用量(20μg)と比較したオープンラベルRCT第4相(DATA-HD試験)。主要評価項目15カ月時の脊椎の骨密度の平均変化率は高用量群の方が有意に高く(17.5% vs. 9.5%、P<0.0001)、大腿骨頸部(6.8% vs. 4.3%、P=0.04)と股関節全体(6.1% vs. 3.9%、P<0.0001)でも同様の結果。重篤な有害事象の発現率は標準用量群18%、高用量群5%。

P:閉経後骨粗鬆症患者
E:テリパラチド20μg (標準量)/日+デノスマブ 60mg /6ヶ月
C:テリパラチド40μg (高容量) /日+デノスマブ 60mg /6ヶ月
O:15ヶ月時点における椎体のBMDのベースラインからのパーセント変化


<セッティング>
 Massachusetts General Hospital (Boston, MA, USA).

<研究デザインの型>
 オープンラベル第4相RCT
  治療:オープン
  評価者:マスク化

<Population、およびその定義>
 骨粗鬆症をもつ閉経後女性(45歳以上)
 [閉経の定義]最後の月経後または子宮摘出術後から6ヵ月以上経過し、卵胞刺激ホルモン濃度が40 U/L以上

<主な要因、および、その定義>         
 1:1にコンピューターでランダムに層別で可変ブロック割付(年齢(65歳以上 vs 65歳未満)とビスフォスフォネート薬の使用歴(使用の有無)によって層別)
 テリパラチド20μg (標準量)/日を9ヶ月間皮下注射
 3ヶ月後からデノスマブ 60mg /6ヶ月を12ヶ月間皮下注射

<Control、および、その定義>
 テリパラチド40μg (高容量) /日 9ヶ月間皮下注射
 3ヶ月後からデノスマブ 60mg /6ヶ月を12ヶ月間皮下注射
 *共介入:1日の総元素カルシウム摂取量1200mgを達成し、血清25-ヒドロキシビタミンD濃度を20ng/mL以上に維持するために、必要に応じて炭酸カルシウムとビタミンDのサプリメントを投与。
 *テリパラチドへのアドヒアランス:参加者の日記によって評価

<主なアウトカム、および、その定義>
主要アウトカム
 DXAにより評価した15ヶ月時点における椎体のaBMDのベースラインからのパーセント変化
副次アウトカム:
 DXAで評価した股関節全体、大腿骨頚部、橈骨遠位部のBMDの変化
 脊椎と股関節の定量的CTで評価したvBMDと推定強度の変化
 高解像度末梢定量CT(HR-pQCT)で評価した脛骨遠位部と橈骨遠位部の変化
 骨のターンオーバーの生化学的マーカー
 安全性

<交絡因子、および、その定義>
  なし

<解析方法>
 サンプルサイズ
  腰椎のaBMDにおける群間差を2-5%(臨床的に重要と考えられる下限値であり、脊椎DXAに基づく最も低い変化よりも大きい値)、両側検定、有意水準5%、検出力80%、脱落率14%と仮定→各群35名の見込み
 グループ間の差:反復測定ANOVA
 ベースライン後に少なくとも1回の試験を完了したすべての参加者を含む修正(m-)intention-to-treat解析セットで評価

<結果>
・適格
 2014年10月15日から2016年6月10日の期間の269名のうち76名がエントリー
 標準量群(20μg teriparatide)39名、高容量群(40μg teriparatide)37名、うち69名が最低でも1回のベースライン後の通院を行なった
・15週時点
 平均椎体aBMD:高容量群(17·5% [SD 6·0] 増加)が標準量群(9·5% [3·2] 増加)と比較し有意に増加(9·5% [3·2])、差:8·1%, 95% CI 5·5 to 10·6, p<0·0001
 平均大腿骨頸部aBMD:高容量群(6·8% [SD 4·1]増加)が標準量群(4·3% [3·7])と比較し有意に増加(9·5% [3·2] 増加)、差:2·5%, 0·5 to 4·5, p=0·04
 平均total hip aBMD:高容量群(6·1% [3·4] 増加)が標準量群(3·9% [2·9] 増加)と比較し有意に増加(9·5% [3·2])、差:2·2%, 0·6 to 3·8, p<0·0001

・有害事象
 標準両群:30 /39 (77%)
 高容量群:29 /37(78%)

・重度の有害事象
 標準両群:7/39(18%)
 高容量群:2 /37(5%)

・もっとも頻度の多い有害事象
 標準量群:関節痛(15 [38%])、筋クランプ(15 [38%])、倦怠感(12 [31%])
 高容量群:倦怠感(14 [38%])、嘔気(16 [43%])、関節痛(17 [46%])
 両群とも死亡はなし

<Limitation>
・主に白人集団の単一施設で行われたため、結果の一般化可能性が制限
・試験の規模が比較的小さく、骨折の有益性を直接評価することはできない。
・この治療法の忍容性と安全性を厳密に評価することはできない。
・open labelであることで脱落のバイアスが生じる可能性がある。
・観察期間が15ヶ月であり長期のデータではない(RCTの限界、extension studyへ期待)

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
・現時点で本邦では適応外の治療法になる。将来的な適応拡大が望まれる。

 

 

担当:柳井亮

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