当科スタッフが「2021 JCR 秀逸ポスター賞」を受賞しました! 

当科スタッフ4名が、第65回日本リウマチ学会総会・学術集会において、秀逸ポスター賞を受賞いたしました。

以下、各発表の概要になります。

・磯崎 健男医師
「単球系細胞の分化に対するFilgotinibの影響」
 関節リウマチ治療にでのJAK阻害薬の有効性は認められている。今回、骨関節の主要構成細胞であるfilgotinibのヒト骨芽細胞を介した単球細胞の分化に対する影響を検討した。IL-6IL-6 receptorの刺激による細胞上清中のMCP-1/CCL2およびCXCL16の産生は、Filgotinibにより抑制された。また、Filgotinibを添加したMG63上清を用いて、単球系細胞であるTHP-1の分化の検討を行ったところ、多核細胞への分化は抑制された。

・磯島 咲子医師
「当院母性内科外来における関節リウマチ合併妊娠の妊娠転帰」
 当科で妊娠管理をおこなった関節リウマチ患者の妊娠転帰および産後のRAの活動性の評価を行った。30名35妊娠のうち正期産は29妊娠(96%)、流産5妊娠(14.2%)、早産1妊娠(2.9%)であり産後1年以内の再燃は12妊娠で認め、抗CCP抗体陽性(p₌0.006)妊娠中のPSL使用(p₌0.004)と有意に相関を認めた。計画的に妊娠した関節リウマチ合併妊娠は日本の一般的な産科予後と変わらないと考えられた。抗CCP抗体陽性例や妊娠中にPSLを使用した症例では産後の関節炎の再燃に注意が必要である。

・前岡 愛里医師
「肺線維芽細胞におけるADAM-17の検討」
A disintegrin and metalloprotease (ADAM)-17は蛋白分解酵素であり、われわれは前回ADAM-17の炎症性筋疾患への関与、特に合併する間質性肺炎の炎症におけるADAM-17の関与を報告した。今回、他の自己免疫疾患における間質性肺炎の関係および肺の線維化に重要な構成細胞である肺線維芽細胞でのADAM-17の役割を解明することを目的とする。
 関節リウマチ 22名、全身性強皮症 38名、混合性結合組織病 12名、overlap症候群 8名の血清ADAM-17をELISA法にて測定した。臨床症状、背景因子、血液検査値などとの関連を検討した。肺線維芽細胞におけるADAM-17の発現を免疫染色法およびELISA法、Western blot法にて測定した。
 コントロール群(健常者)と比較し、上記患者血清中のADAM-17は有意に高値であった。上記患者を間質性肺炎の合併の有無で検討したところ、ADAM-17は間質性肺炎合併群において有意に高値であった。免疫染色において肺線維芽細胞にADAM-17の発現を認めた。TNF-α刺激によって細胞培養上清および細胞内におけるADAM-17の産生が有意に亢進した。
以上より、自己免疫疾患の病態形成および合併する肺障害においてADAM-17の関与が示唆された。

・小西 典子医師
「Mepolizumabにより寛解を得られたMPO-ANCA陽性の好酸球性筋膜炎の一例」
 両側大腿の違和感・両側前腕から手関節にかけて腫脹、疼痛が出現し、血液検査でWBC 13600 /µL (好酸球 58%)、アルドラーゼ 26.4 U/L、MPO-ANCA 15.3 IU/mLの上昇を認めたことから当科紹介受診した36歳女性の症例。右前腕MRIにて筋膜の肥厚を認め、左前腕からEn bloc生検を施行した組織像で,筋膜の肥厚を伴う皮下結合織の線維化と,好酸球,単核球の細胞浸潤を認めた。組織学的に血管炎の所見はなく、臓器障害を認めないことから好酸球性筋膜炎と診断した。副腎皮質ステロイドの全身投与を患者が希望せず、Mepolizumab 300 mg/4週単剤にて治療を行った。Mepolizumab初回投与後は速やかに前腕の疼痛と硬化が改善し、4週間後には好酸球数が正常化、8週間後に血清アルドラーゼ値が正常化した。その後、投与開始10週間後に施行した右前腕MRIでは、筋膜の肥厚の所見は改善しており、症状再燃なく経過した。

 

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