The man-in-the-moon face: a qualitative study of body image, self-image and medication use in systemic lupus erythematosus
著者 Elizabeth D Hale, et al.
掲載雑誌/号/ページ Rheumatology 2015 July ;Issue 7
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<サマリー>SLEにおいてbody imageが薬の服用遵守にどう影響するかは明らかにされておらず質的研究を行うことで今回調査された.
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<背景>
全身性エリテマトーデス:SLEは疾患や治療による影響で慢性的な痛みや集中力の低下,不眠など内面的な問題に限らず,外見的にも大きく影響を及ぼす.関節の腫れ、歩行や姿勢の変化、発疹、皮膚の色素沈着、瘢痕や脱毛などに対処しなければなりません.治療の中心となるステロイドには顔の変化,体重増加,痤瘡,骨粗しょう症を伴い,患者にとっては社会的孤立を招く報告もある.ボディイメージが治療のアドヒアランスへの低下につながるか質的手法を用いて研究を行った.
P:全身性エリテマトーデス
E:BMI
C:
O:薬のアドヒアランス影響
<セッティング>
USA東海岸の大学教育機関のリウマチ科クリニックからリクルートされた.
<population およびその定義 >
参加者は15名(女性14,男性1)年齢22〜57歳であった.罹病期間3〜20年.
Table1
<主なアウトカム、および、その定義>
インタビューでは、診断から現在までのSLEの経験を時間軸で語った。
すべての参加者は、SLEがもたらした人生の大きな変化について語り,診断前との比較が行われた.
4つのテーマ(テーマ1:診断まで,テーマ2:対話による治療の理解,テーマ3:治療と生活,テーマ4:セルフイメージ)とbody imageについて分析された.
<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
質的研究
<解析方法>
interpretative phenomenological analysis (IPA)
研究者は参加者の人生における重要な出来事(現象)を探り、その人の人生の文脈の中で意味を獲得した出来事を理解することができます。IPAのアプローチで行われる研究インタビューでは、参加者が自分に起こったことを理解しようとする試みを関連付けている.
<結果>
テーマ1:診断まで
SLEの診断に関して「トラックに轢かれたように」非常に突然であり,自分の体と人生が劇的に変化したという感覚が表された.患者の1/3は症状出現から診断に至るまでの期間が長く,医師からは体重増加などの生活習慣が原因とされた例もあった.
テーマ2:対話による治療の理解
患者は医師が病状や治療法,副作用などについて明確で正確な情報を提供する能力を高く評価していた.中には治療方針の決定において,薬について話し合う機会が限られていた,コミュニケーションの不足が将来への不安や恐怖を強く感じさせた.
参加者の中には、薬を飲まない期間があったことも珍しくありません。その理由は、副作用、憂鬱、一時的な気分の良さ、自分でコントロールしたいという気持ちであった。関与した医師が同情的でない場合、患者は別の場所で治療を受けようとする傾向があった。また,美容上の問題には助けがないと言われることが共感の欠如と判断された.SLEや治療による外見上の変化は内面とは別に最も苦痛を与える要因であった.患者は心理社会的側面に対応するトレーニングとして患者グループを介してサポートを得られやすいと感じていた.
テーマ3:治療と生活
すべての参加者が治療の副作用を経験した.PSLの服用による体重増加は最も一般的に挙げられ,body imageを否定的に捉える大きな要因となった.多くの参加者が体重の増加,姿勢や歩行のmoon faceへの変化により自身のbodyimageに不満を抱いており,話題にすることを苦痛であると感じていた.
2人の参加者は病気のために結婚生活の破綻につながったと話した.
テーマ4:self image
すべての参加者がselfimageは外面的なものを表すbody image に対して内面的であり,参加者の多くがself imageに対して肯定的であり,SLEの経験が自分をより強くしていると話している.ループスや薬の影響によって本来の自分が曇る時があるとしている.
<結果の解釈・メカニズム>
患者と医療従事者とのコミュニケーションがうまくいかないことで服薬行動の不履行が起き,病院を転々と変えることにつながり,疾患アウトカムの悪化にもつなガリうる.これまでの研究では30%の患者が現在の治療法に不満を感じている.患者が治療法に従わない場合医師にとってひねくれている人に見えるが,患者にとっては状況を自分でコントロールしようとする試みであり,患者が自分の選択が尊重されていると感じることが必要である.
不満の原因となる一つは外見上の悩みであった.多くの医師は外見上の悩みについて会話することに抵抗を感じる傾向にあったが,有益な解決策を提示できないことが原因と思われた.
<Limitation>
質的研究であり,治療法や,患者背景に関しては不明な点が多い.
<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>
➀臨床②今後の検討・研究課題
尺度を用いた検証
<この論文の好ましい点>
SLE患者の外見上の問題点を医療関係者にとって解明すべき問題点としてスポットライトを当てたこと.
担当:小黒奈緒