非重症AAVに対する、RTX併用・低用量GCによる寛解導入は高容量GCと同等の効果を示す【Journal Club 20210616】

Effect of Reduced-Dose vs High-Dose Glucocorticoids Added to Rituximab on Remission Induction in ANCA-Assocsiated Vasculitis. Randomized Clinical Trial

Shunsuke Furuta, MD, PhD; Daiki Nakagomi, MD, PhD; Yoshihisa Kobayashi, MD, PhD; et al.    

JAMA. 2021;325(21):2178-2187. doi:10.1001/jama.2021.6615

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サマリー;非重症AAVに対して、RTX併用、低用量GCによる寛解導入は従来型の高容量GCと同等の効果を示す
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P:新規発症のANCA関連血管炎
I:低用量GC(0.5mg/kg/day)
C:高容量GC (1.0mg/kg/day)
O:6カ月目の寛解率

<セッティング>
・日本国内21施設2014年11月~2019年7月

<研究デザインの型>非盲検RCT

<Population、およびその定義>
・20歳以上新規発症のAAV:MPA、GPA、ANCA関連腎炎でPR3-ANCAもしくはMPO-ANCA陽性者
・RPGN(eGFR<15)もしくは肺胞出血をきたしたケースは除外

<主な要因、および、その定義>         
・Primary outcome    :6カ月目におけるBVAS0点、および PSL≦10㎎/day
・Secondary outocome :死亡率、再発率(寛解後新たにBVAS加点) 、末期腎不全
          重篤なadverse event(死亡や障害、入院に関与するevent)

・治療プロトコール
◇RTX375㎎/m2 週1回×4回(最大400㎎/回) GC開始7日目までに初回投与
◇GC投与量

weeks

Low-Dose group

High-Dose group

1-2

0.5mg/kg/day

1.0mg/kg/day

3-4

0.25mg/kg/day

0.8mg/kg/day

5-6

7.5mg/body/day

0.7 mg/kg/day

7-8

5mg/day

0.5mg/kg/day

9-10

4mg/day

0.4 mg/kg/day

11-12

3mg/day

0.35 mg/kg/day

13-16

2mg/day

15mg/day

17-20

1mg/day

12.5mg/day

21-24

0

10mg/day

<Control、および、その定義>
なし

<解析方法>
X2検定、フィッシャー正確確率検定、ウィルコクソン順位検定、log-rank検定

<結果>
・140例のAAVがランダム化され(RDG:70 vs HDG:70)RDGで1例、HDGで5例が脱落(Figure1)

■Primary Endpoint:
寛解達成はRDG71% vs HDG69.2%と両群で非劣勢が示された(P=0.03)

■Secondary Endpoint
・RDGの3例、HDGでは0例で早期再発があったが、統計ていな有意差はなし
・GCの総投与量はRDG:1318㎎ vs HDG:4151㎎ とRDGで有意に低かった
・6カ月時点でのGC投与量の中央値も2㎎/day vs 10mg/dayとRDGで有意に低かった
・RDGでは6カ月時点で39.1%の症例でGC中止。22例は最終段階で中止に至らなかった
(ANCA上昇17例、BVA上昇11例、CRP上昇6例)
・6カ月時点でのBVASやCRPに有意差はないが、血清IgG値はRDGで有意に高値だった
・Adverse Event:重篤なAEはRDGで21events in 13 patients,18.8% 、HDGで41events in 24 patientsと、RDGで有意に少ない(P=0.02)

<結果の解釈・メカニズム>
 ANCA関連血管炎の病態形成におけるB細胞の重要性は近年議論されているところである。また、寛解、維持療法における
RTXの効果も実証されつつある。今回の結果から、寛解導入において、B細胞の活性化を初期からしっかり抑え込むことの重要性がみえる。また、必要PSL総量は従来型治療の半部以下に抑えられる本治療戦略は、治療開始6カ月以降にも必至であるPSL長期内服の副作用も減らしてくれると期待できる
特に、糖尿病や骨粗しょう症を有する患者、高齢者などでは期待できる治療プロトコール

<Limitation>
■オープンラベルである点。評価にvisual anarog scaleなどが使用されており、バイアスを避けられない
■日本国内に限った研究である点、人種差を評価できない
■新規例、非重症例の絞った点
■ANCA陰性の血管炎を除外した点

<この論文の好ましい点>
■日本人に絞ったRCTである点

担当:高橋 良

 

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