抵抗運動は乾癬性関節炎の患者の機能的能力を改善する:無作為 試験

A resistance exercise program improves functional capacity of 

patients with psoriatic arthritis: a randomized controlled trial

(抵抗運動は乾癬性関節炎の患者の機能的能力を改善する:無作為

試験)

 

Diego Roger-Silva

Clinical Rheumatology. 2018:37:389-395

 

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<サマリー>

乾癬性関節炎の患者に対し、12週間抵抗運動を施行し、HAQ-S、筋力などを評価した。結果、機能的能力、疾患活動性、および一般的な生活の質を改善するのに効果的であったが、これらの改善は筋力の改善とは結びついていなかった。

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P:乾癬性関節炎の患者

I:抵抗運動介入群

C:抵抗運動非介入群

O:6週目、12週目でのHAQ-Sの改善

 

<セッティング> 

・Universidade Federal de São Paulo(ブラジルの大学病院)および地元の新聞の広告を

通じて応募してきた患者

 

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>

・12週間の無作為プラセボ対照試験

   

<Population、およびその定義>

  18~65歳のCASPARの分類基準で診断された乾癬性関節炎で、DMARDs、NSAIDs、コルチコステロイドの使用は可能であるが、少なくとも4週間投与量が変わっていない患者。

 

   除外基準:コントロール不良の心疾患・糖尿病、重度の精神疾患、線維筋痛症、

過去6か月間の定期的な運動の経歴(少なくとも週に2回30分、

過去12年間の股関節および/または膝関節の関節形成術の患者

 

<主な要因、および、その定義>

  ・上肢、下肢、体幹の筋群に対してトレーニングを施行

   ・上肢:pulley triceps machine、front pull、dumbbells

   ・下肢:leg extension machine

 

  トレーニング方法は、アメリカスポーツ医学大学(ACSM)によって確立されたすべての推奨事項に

従った。週に2回、12週間行った。

 

<Control、および、その定義>

  ・プラセボ→もともとの薬物治療を継続

 

<主なアウトカム、および、その定義>

  ・主要アウトカム:

   ・6週目および12週目でのHealth Assessment Questionnaire for the Spondyloarthropaties (HAQ-S)

 

  ・副次的項目:

   ・機能的能力:Bath Ankylosing Spondylitis Functional Index(BASFI)

   ・筋力:筋肉が一度に受けることができる最大負荷からなる1RMテストによって評価

   ・疾患活動性:BASDAI、DAS28

   ・QOL:SF-36

 

<交絡因子、および、その定義>

・記載なし

 

<解析方法>

・グループ内の患者の特性を明らかにするために、記述的統計(信頼区間95%)が実行された。
・2つのグループの初期連続変数は、Studentのtテスト(正規分布の変数の場合)とMann- 

Whitneyテスト(正規分布に従わない場合)によって比較された。

・カテゴリ変数は、カイ二乗テストによって評価された。

・介入への反応を評価するために、治療企図解析を使用した。反復測定の分散分析(ANOVA)を

使用して、グループ間およびグループ内の治療に対する反応を経時的に評価しました。

・統計的有意水準は5%とした。

 

<結果>

 ・80名がエントリーされ、地理的・時間的問題から通院できない39名が除外された。

  残った20人が介入群、21人がプラセボ群にランダムに割り付けられた。

  途中脱落はなかった。

  (Figure 1)

 

 ・患者背景

  ・平均年齢50歳、男女差なし

  ・罹病期間10~12年

  ・約95%に末梢関節に病変を認めた

  ・介入群の約80%、プラセボ群の約70%にMTXが使用されていた

  ・介入群の約20%、プラセボ群の約30%にIFXが使用されていた

  (Table 1)

 

 ・HAQ-S、BASDAI、BASFI、DAS-28の結果

  ・HAQ-S、BASDAI:介入群内で介入前と介入後で有意差あり

                介入群とプラセボ群との間でも有意差あり

  ・BASFI、DAS-28:介入群内で介入前と介入後で有意差あり

                介入群とプラセボ群との間では有意差なし

(Table 2)

 

 ・SF-36の結果

  ・Mental health以外は介入群内で介入前と介入後で有意差あり

  ・Pain、General health statusでのみ介入群とプラセボ群との間でも有意差あり

   (Table 3)

 

 ・筋力評価の結果

  ・介入群内とプラセボ群で筋力で右脚の伸筋を除き筋力改善に差は見られなかった

   (Table 4)

 

 ・有害事象

  ・なし

 

<結果の解釈・メカニズム>

・機能的能力、疾患活動性、および一般的な生活の質を改善するのに効果的であったが、これらの

改善は筋力の改善とは結びついていなかった

 

<Limitation>

・試験期間が治療期間に比較して短い。

・サンプルサイズが小さい。

 

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>

・薬物療法に加えて理学療法の併用は有用であると考えられるが、使用器具の問題など施行できる

 施設は限られてくると思われる

 

<この論文の好ましい点>

・主要評価項目を宣言している点

(担当:西見)

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