ステロイド性骨粗鬆症におけるアレンドロネートとテリパラチドの治療効率と安全性【Journal Club 20221109】

The efficiency and safety of alendronate versus teriparatide for treatment glucocorticoid-induced osteoporosis: A meta-analysis and systematic review of randomized controlled trials

ステロイド性骨粗鬆症におけるアレンドロネートとテリパラチドの治療効率と安全性

ランダム化比較試験 (メタ分析、システマティックレビュー)

 

Zhi-Ming Liu , Min Zhang , Yuan Zong , Ding Zhang , Zhu-Bin Shen , Xiao-Qing Guan , Fei Yin                                          PLoS ONE 2022; 17(5): e0267706.

 

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<サマリー>

ステロイド性骨粗鬆症の治療におけるアレンドロネート(ALE)とテリパラチド(TPTD)の2つの薬剤のどちらがより優れた治癒効果を持つかランダム化比較試験を用いて検討した。TPTDは、ALEと比較して、ステロイド性骨粗鬆症の患者の椎体骨折リスクを低減させる有効な薬剤である。さらに、TPTDの長期使用は、腰椎、大腿骨頚部、股関節全体の骨密度を増加させる。

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<背景>

・グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(GIOP)は最も一般的な二次性骨粗鬆症であり、GIOPの治療にはアレンドロネート(ALE)とテリパラチド(TPTD)が広く使用されている。

・ALEはグルココルチコイドで治療された患者の破骨細胞活性を抑制し、骨吸収を抑制し骨密度を増加させる働きがある。

・TPTDは副甲状腺ホルモンアナログとして、前骨芽細胞の骨芽細胞への分化を効果的に誘導し、骨芽細胞の活性を改善し、既存の骨芽細胞を刺激して新しい骨を形成、骨芽細胞のアポトーシスを減少させる働きがある。

・TPTDとALEの安全性、有効性、副作用に観点を比較し2つの薬剤のどちらがより優れた治癒効果を持つかを検討した。

 

<方法>

・2022年2月までのGIOP治療におけるALEとTPTDの無作為化対照試験をPubMed,Embase,Cochrane Library,Web of Science,Googleのデータベースから以下 (“alendronate”[MeSH Terms] AND “teriparatide”[MeSH Terms]) AND ((“glucocorticoid “[MeSH Terms]) AND “osteoporosis”[MeSH Terms] OR “glucocorticoid-induced osteoporosis “[All Fields] OR “GIOP “[All Fields]))で検索した。

 

・適用基準 

患者は21歳以上、スクリーニングの3ヶ月前からPSLを5㎎以上またはそれに相当する量を内服、

グルココルチコイド服用中に少なくとも1つの脆弱性骨折を認める、研究言語は英語、RCTを用いる。

・除外基準 

原発性骨粗鬆症(閉経後骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症、特発性骨粗鬆症を含む)およびその他の非グルココルチコイドによる続発性骨粗鬆症、論文のタイプがレビュー、メタ解析、その他の非 RCT、内容およびアウトカムが椎体骨折発生率および、腰椎骨密度(BMD)変化でない場合。

 

・不連続データの有効指標として95%信頼区間(CI)付きのリスク比(RR)、連続データの有効指標として標準化平均値(SMD)を使用。

・研究間の不均質の評価にはI2を用いており、不均質が高いと判断した場合はランダム効果モデル、それ以外は固定効果モデルを用いる。

・解析はすべて Review Manager version 5.3 を用いて行った。出版バイアスを推定するために、Stata 16.0を使用してEgger線形回帰検定とファネルプロットを行った。

 

<結果>

・最初に検索した62件の論文のうち、5つの論文が採用基準を満たし合計4120名の患者が含まれていた。

 

・ALEと比較して、TPTDは新規の椎体骨折の発生率を有意に減少させることができた。

(RR = 0.13, 95% CI: 0.05-0.34, P <0.00001)

・非椎体骨折に関しては両者に有意差はなかった。(RR = 1.28, 95% CI: 0.81-2.02, P = 0.29)

・ALEと比較して、TPTDはベースラインから6ヶ月(0.30、95%CI 0.19-0.42、P<0.00001)、12ヶ月(0.48、95%CI 0.36-0.60、P<0.00001)、18ヶ月(0.53、95%CI 0.42-0.64、P<0.00001)と腰椎骨密度を上昇させた。

・ALEと比較して、TPTDはベースラインから18ヶ月まで大腿骨頸部の骨密度を増加させ(0.17、95%CI 0.05-0.29、P = 0.006)、ベースラインから18ヶ月まで股関節全体の骨密度を増加させた(0.17、95%CI 0.05-0.28、P = 0.004)。

・TPTDの服用期間が一定期間内であればあるほど、椎体骨密度の増加は明らかであり、18ヶ月の椎体骨密度は6ヶ月および12ヶ月のそれよりも有意に高いことが解析された。

・TPTDを18ヶ月間摂取した後、椎体骨密度の増加は大腿骨頸部と股関節全体と比較して高かった。

 

・TPTD投与群では、PINP(I 型コラーゲンのN末端プロペプチド)、CTX(I 型コラーゲンのC 末端ペプチド)ともにベースラインより増加し、1カ月で上昇を始め、6カ月でピークに達し、18カ月で緩やかに減少した。

・しかし、ALE服用者では、PINP、CTXともにベースラインより減少し、1ヵ月で減少し始め、6ヵ月で最低値となり、18ヵ月で緩やかに増加した。

 

<有害事象>

・両剤の副作用発現率に有意差は認められなかった(RR = 1.00,95% CI: 0.89-1.12, P = 0.58)。

・TPTD投与群では、ALE投与群に比べて吐き気の発現率が高かった(RR = 1.68, 95% CI: 1.19-2.36, P = 0.003)。

・一方、ALEはTPTDに比べ、消化不良(RR = 0.51, 95% CI: 0.31-0.83, P = 0.007)、尿路感染症(RR = 0.69, 95% CI: 0.48-0.99, P = 0.04)の発生率が高かった。

 

<結果の解釈・メカニズム>

・TPTDはALEと比較して、腰椎、大腿骨頚部、股関節全体の骨密度を効果的に増加させ、椎体骨折の発生率は低いことが明らかになった。しかし、非椎体骨折の発生率および副作用については、両群間に有意差は認められなかった。

・TPTDは高価であること、消化器系の副作用があることから、セカンドラインとして使用されているが、ALEと比較して、椎体骨折の発生を効果的に抑制できること、副作用に有意差はないことが示された。

 

<Limitation>

・本研究で対象とした女性には閉経した女性も閉経していない女性も含まれている。

・この試験に含まれるすべての患者には、カルシウムとビタミンDの長期追加補給が行われている。

・この論文に含まれる最も長い研究は36ヶ月に過ぎず、本剤の長期的な有効性はさらに検討する必要がある。

 

<この論文の好ましい点>

・TPTDをALEと比較して効果だけでなく副作用の観点からも比較できていること。

(担当:郡司)

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