ANCA関連血管炎における重篤な感染症の危険因子【Journal Club 20230201】

Ann Rheum Dis. 2023 Jan 26;ard-2022-223401.

Risk factors for serious infections in ANCA-associated vasculitis

Balazs Odler. et al

 

■要約

RTXまたはCYCで寛解導入されたAAV患者の6か月目までの重症感染症のリスクを抽出

 RTXでもCYCでも重症感染リスクは開始時のCD19+細胞数に関連した。

 RAVE trialからの解析

・RAVE trial

初発または再発ANCA陽性のAAV B-VAS≧3 CYC/AZAとRTXの比較 

除外基準:CSS、CYC非適応の限局型AAV、呼吸器が必要になった肺胞出血、血清Cr>4.0mg/dL

           その他

 

・RAVE trailでの治療

□RTX375㎎/m2 ×1/week で4回

□CYC 2㎎/kg/日内服(腎機能による調整)

□両軍とも

□GC投与量は以下 

GC量

期間

トータル期間

mPSLパルス

3日

 

PSL1.0mg/kg(max 80mg)

4週

4週(1か月)

PSL40㎎

2

 

PSL30㎎

2

8週(2か月)

PSL20mg

2

 

PSL15㎎

2

12週(3か月)

PSL10㎎

2

 

PSL7.5mg

2

16週(4か月)

PSL5mg

2

 

PSL2.5mg

2

20週(5か月)

 

■評価項目

年齢、性別、体重、身長、BMI

・登録時B-VAS、ANCA型(MPO or PR3)、疾患分類(GPA or MPA)、病変広がり(全身 or 限局)

障害臓器(腎・皮膚・眼・声門下・肺・耳・鼻・咽頭・心臓・末梢神経・感音性難聴)、発熱、関節痛、肺胞出血、免疫抑制薬(GC総量、CYC or RTX、予防的抗生剤投与

・経過中複数ポイントで血清Cr、WBC数、好中球数、血清Ig値およびisotype

・ベースライン、以後6か月間定期的にB細胞とT細胞のサブセット(CD3,CD5,CD19)測定

 

■統計解析

連続パラメータは中央値および範囲(最小値、最大値)としてまとめ、カテゴリーパラメータは絶対頻度および相対頻度として示した。ベースライン時の特性、および異なる研究時点でのCD3、CD5、CD19を、Mann-Whitney UおよびFisherの正確検定により、重症感染症患者と重症感染症でない患者との間で比較した。

治療開始後18カ月以内の初回重症感染症の危険因子を評価するため、単変量Cox比例ハザード回帰分析を行った。多変量Cox回帰モデルでは、単変量解析でp<0.1であったすべてのパラメータを含め、最終モデルで後方選択を使用した。結果は、HRとそれに対応する95%CIで示した。すべての解析は、イベント数が少ないため多変量解析を除き、コホート全体および治療群(RTXおよびCYC/AZA)で層別して行った。さらに,TMP/SMXの使用有無による無感染生存率のKaplan-Meier曲線も提示した。

 

■結果

 

・18か月の観察機関で22名/197名が重症感染を発症

・RTXまたはCYC/AZAの両軍で重要感染症の発生頻度に差はない

・年齢やBVAS、CYCやRTXの総量などは重症感染と関係しなかった。

・22例の重症感染症のうち15例(68.2%)はベースライン時に再発したAAV患者だった。このうち、12人(80%)は試験参加前に免疫抑制剤/細胞毒性剤による治療を受けていた。

 

・重症感染者では非感染者に比べベースラインのCD19+細胞が低かった。Table 1

(total cell number; 120.5/µL (range 12.3–759.1) vs 219.1/µL (range 2.4–1282.1), p=0.001) 

・RTX群でもCYC群でも重症感染症を起こした患者では、ベースラインおよび治療後1か月後のCD19+細胞数が低かった figure.2

・再発患者においては、新規発症患者に比べベースラインのCD19+細胞数が低かったが(173.5 vs 219.1/μL、P=0.012)、再発前、RAVE登録前のCYCの暴露の有無はベースラインのCD19+細胞数に影響しなかった(154 vs 203.8/μL, P=0.274)

・CD5+細胞数;RTX群では重症感染と非感染の両軍で差はないが、CYC/AZP群では治療開始2週間の低下が重症感染と関連した(4.8 vs11.7/μL P=0.032)figure 2

 

・PCPの予防的抗菌薬内服者でより重症感染のリスクが低い(94% vs 73%, P=0.005)

・ベースラインの血清IgM値が高いほうが、重症感染のリスクが高かった。

■Limitation

  ・重症感染者の数が少ない

 ・とくに再発AAVで重症感染が多く、もっとも臨床上需要の高い新規発症に対しての効力は限定的

・糖尿病や肺疾患、栄養状態などその他の重大な感染のリスク評価、比較検討がない

・ベースラインのIgM高値が重症感染と関連⇒既存の報告とは逆、採血時期を定めていないため、経時的変化

は不明

 ・CYCはもともと感染リスクが高いとされる内服であり、IVCY療法に直接当てはめるのは難しい

■臨床への応用

CYCでもRTXでも重症感染症のリスクは変わりないが、いずれにしても開始時、治療介入4週のCD19+細胞数の低下は重症感染のリスクである可能性が高い。

RAVE試験はステロイドを比較的高容量で使用する治療レジメンであるが、今後ステロイド少量プロトコールをどのような患者に選択するか、治療開始時のCD19+細胞数も一つの指標になるかもしれない。

IgMに関してはベースラインの高IgM値が感染に関係している⇒なぜか?本文中も病態の仮説はなく、limitationとし、さらなる検討(IgM値の経過推移など)を要するとしている。治療後IgG値とともにIgMも測定していく価値はありそう。

 

■重症感染定義 NCI CTCAE version3.0で3以上とする         

 

担当:髙橋 良

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