関節リウマチ患者の治療ごとの帯状疱疹のリスク・重症度について【Journal Club 20230215】

(タイトル 英語)Risk and severity of herpes zoster in patients with rheumatoid arthritis receiving different immunosuppressive medications: a case–control study in Asia

 

(タイトル 日本語)関節リウマチ患者の治療ごとの帯状疱疹のリスク・重症度

 

著者

Tsai-Ling Liao,1,2 Yi-Ming Chen,1,2,3,4 Hung-Jen Liu,2 Der-Yuan Chen2,3,4,5,6

 

<サマリー>

関節リウマチ治療ごとの帯状疱疹のリスク、重症度について明らかにしている。

 

P: 関節リウマチ(以下RA)を新規に発症した患者で

E: 関節リウマチ治療開始後に帯状疱疹(以下HZ)を発症した患者は

C: 発症しなかった患者と比して

O: どのような差異があるか

 

<セッティング>

・RA患者…台中栄民総合病院で2001年から2014年に診断されたRA、1987年の米国リウマチ学会の基準での診断

・HZやそのほかの合併症についてはカルテレビューで検索をし、ICD9の疾病分類を用いている。

・HZを発症していないRA患者を年齢、性別、HZ感染時のRA罹病期間をRA-HZ症例群と4:1の割合でマッチさせた。対照群のHZ感染日は、症例およびマッチさせた対照群の指標日とした。

・合併症を起こした患者の治療薬に関しては、指標日から1年以内の薬剤を抽出した。

 

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>

症例対照研究

 

<Population、およびその定義>

・RA患者…台中栄民総合病院で2001年から2014年に診断されたRA、1987年の米国リウマチ学会の基準での診断

・重症のHZの定義…抗ウイルス剤の静脈内投与を必要とする、または眼に発生したHZ と定義

 

<主なアウトカム、および、その定義>

・治療薬については以下の3群に分類する

(1)抗TNF阻害薬(アダリムマブ、エタネルセプト、ゴリムマブなど)

(2)非抗TNF生物学的製剤(リツキシマブ、トシリズマブ、アバタセプトなど)。

(3)非生物学的製剤:コルチコステロイド、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン、メトトレキサート、レフルノミド、非ステロイド系製剤など

→ステロイドは帯状疱疹発症3か月以内に使用されている例として、その際の投与量をベースラインとしている。

 

<解析方法>

・単変量解析についてはスチューデントのt検定とχ2検定を用いた。p値<0.05を統計的に有意とした。

・多変量解析モデルは、他の免疫抑制剤の使用や併存疾患(例:高血圧、CKD、DM)など、HZと関連する可能性のある共変量で調整した。

条件付きロジスティック回帰を使用して、ORおよび95%CIを算出した。

・time-to-event解析についてはログランク解析を行った。

 

<結果>

・2001年から2014年の間でRAと診断された患者のうち2001-2014. その中で、275人(3.05%)がRA特定後に新たにHZと診断された。評価するためにRA-HZ患者は275名、マッチされた対照群が1100名とした。

・HZ診断時のRA罹病期間の平均は、10.0±4.7年であった。(Figure1A)

・HZ群はベースラインで有意に高血圧、慢性腎臓病の既往のあるものが多く、NSAIDs,MTX,HCQ,SASP,ステロイド,TNF阻害薬使用が多かった(Table1)

・薬剤別ではメトトレキサート(調整後OR(aOR))=1.98、95% CI 1.43〜2.76、p<0.001)、ヒドロキシクロロキン(aOR=1.95、95%CI 1.39〜2.73、p<0.001)、スルファサラジン(aOR=1.75, 95% CI 1.27~2.43, p<0.001)およびコルチコステロイド(<5mg/日 aOR=1.28, 95% CI 1.17 to 1.47, p<0.001; 5~<10mg/day aOR=1.28, p<0.001; p<0.001)から<10 mg/日 aOR=1.73、95% CI 1.34~2.32。p<0.001; 10mg/日以上 aOR=2.30, 95% CI 1.25 to 4.22.p<0.001)がHZ感染に関連していた(Table2)

・ステロイドは用量依存性にオッズ比との関連が見られた。(Table2),抗TNF阻害薬ではHZ患者にアダリムマブが使用されていることが多かった。(Supplement)

・HZ発症までの期間は、非抗TNF生物学的製剤群が最も短く(1.7±1.3年、p<0.001。表3)、次いで抗TNF生物学的製剤群(2.3±2.0年p<0.001)、非生物学的製剤群(4.6±4.0年)であった。(Table3)

・静注抗ウイルス薬使用は生物学的製剤使用群のほうがおおい。眼科的HZの発症は全7例でうち2例がリツキシマブ、1例がトシリズマブ使用患者であった。(Table3)

 

<結果の解釈・メカニズム>

・ステロイドに関しては既報の通り累積量による感染症のリスク増大につながることはHZにおいても同様のことがいえると考える。

・TNFがウイルス感染の制御に寄与するためTNFを阻害することはウイルス感染症になりやすくしていると考えられる。アダリムマブの特徴(高いTNF結合能、緩やかな解離、長い血清半減期など)がよりHZリスクを増やしていると思われる。

 

<Limitation>

・研究当時の治療薬から現在の治療薬への変遷(JAK阻害薬について、またゴリムマブは台湾では2012年より販売となっている)

・それぞれの群で疾患活動性の評価がなされていない(HZ群のほうがベースラインでのCRP高値であり、もともと多剤併用を要するような重症のRAであった可能性は高い)

・近医で内服抗ウイルス薬を投与されている患者が一定数おり、内服抗ウイルス薬の効果が十分と評価されていない。

・水痘感染の既往については考慮されていない(台湾では帯状疱疹ワクチンを接種できるようになったのは2013年10月からであり、ほとんどの患者が予防接種はうけていない)

<どのように臨床に活かす?どのように今後の研究に活かす?>

・ステロイドを長期に使用している、今後生物学的製剤を使用してステロイドフリーにしたいという高齢RA患者は多い。そのような場合には生物学的製剤投与後すぐの帯状疱疹予防、リスクの説明が肝要であると考えられる。

 

<この論文の好ましい点>

・アジア人RA患者における治療ごとの帯状疱疹のリスクを検討した初めての症例対照研究である。

・長期間のカルテ情報を用いた研究である

 

<この論文にて理解できなかった点>

・生物学的製剤の投与に関してTNF阻害薬とそれ以外とで分類した意図

 

 

担当:河森 一毅

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

私たちと一緒に学びませんか?

プログラム・募集要項はこちら


昭和大学病院
〒142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8
アクセスマップ
電話:03-3784-8000(代表)

[初 診]月曜~土曜 8:00~11:00
[再 診]月曜~土曜 8:00~11:00(予約のない方)
[休診日] 日曜日、祝日、創立記念日(11月15日)、年末年始