AAVおよびAAV再発後の寛解維持療法【Journal Club 20230712】

Rituximab versus azathioprine for maintenance of remission for patients with ANCA-associated vasculitis and relapsing disease: an international randomised controlled trial
Ann Rheum Dis. 2023 Jul;82(7):937-944.

サマリー;AAVおよびAAV再発後の寛解維持療法 AZPよりもRTXが望ましい

<背景>
RITAZAREM trialの3年追跡後の報告
RITAZAREM試験 再発性AAVの再寛解導入~維持
1.導入期(登録から4ヵ月目まで):導入療法はRTX(375mg/m2/週を4回投与)と経口0mg/kg/日(高用量)または0.5mg/kg/日(低用量)から開始、医師の裁量で10mg/日以下に減量。登録時のみmPSLパルスが許可された
2.維持期:(登録から4~24ヵ月)GPAに対するBVAS≦1かつPSL≦10mg/日と定義される寛解を達成した患者は、RTXまたはAZPを投与する群に無作為に割り付け。AZP内服が難しい場合、MTX25㎎/w またはMMF2g/d へ変更
RTX:RTX1000mg/4カ月(month 4,8,12,16,20 計5回)
3.フォローアップ期:この非治療期は、24ヵ月目の維持期終了後に開始され、さらに12〜24ヵ月間(登録から36〜48ヵ月間)継続した

RITAZAREMは、再発性AAV患者において、RTXとPSLによる寛解導入後の寛解維持において、一定間隔のRTXがAZPより優れているかどうかを評価するためにデザインされた国際無作為化比較試験である。さらに、RTXの投与量を増やすことで、維持治療期間を超えて再発するリスクが減少するという仮説が立てられた。

<セッティング>
7か国 29施設 

<研究デザインの型:RCT、横断研究、前向きコホートなど>
RCT

<アウトカム>          
・Primary outcome
無作為化から再発までの期間
BVASの少なくとも1項目の再発または新規
・Secondary outcome
 追跡終了時に寛解を維持した割合
重症再発までの期間
Combined disease assessment instrument17
累積PSL量
 SF-36 健康関連QOL
重篤な有害事象

<Control、および、その定義>
なし

<解析方法>
・登録は少なくとも160人の患者が無作為化されるまで続けられた。このサンプルサイズは、58例の再発が観察され、5%の有意水準でHRが42であるという対立仮説の下で、90%の検出力を達成するという目標に基づいて計算された。これは、24ヵ月時の脱落率を5%、48ヵ月時の無再発率をRTX群75%、AZP群50%と仮定したもの。年齢・ESR/CRP 血管長予測因子は95%CL、オッズ比を計算し、 ロジスティック回帰分析を行った
・結果は無作為化された170例の患者について報告されているが、安全性パラメータについては登録された188例すべてのデータが示されている。主要なintention-to-treat解析は、RTX群とAZP群間のrelapse free survival ratio分布の差について、層別化因子(ANCAタイプ、再発重症度、PSL導入レジメン)で調整したCox比例ハザードモデルに基づき、閉じた検定手順で行った。まず、帰無仮説をすべての時点においてHRが1であるかどうかを検定、この仮説が5%水準で棄却された場合、24ヵ月までと24ヵ月以降という2つの副仮説が、時変共変量を用いて事前に設定された。モデルの適合度はhosmer-lemeshow goodness-fit testで行った
・ハザード比と95%CIを報告した。p値が5%未満を統計的に有意とみなした。24ヵ月および48ヵ月の無再発生存期間と無再発生存期間中央値のKaplan-Meier推定値、および治療割り付け別の対応する95%CIも示した。低ガンマグロブリン血症発症の危険因子について多変量解析を行った。データの解析にはR V.3.6.1を用いた。

<結果>
・期間全体ではRTXによる維持療法はAZP群に対し、HR0.41と再発を防ぐ点で有意であった(RTX再発45% vs AZP再発71%)
・維持期間中の再発は RTX15% vs AZP38%
・24カ月目でのrelapse free survival rate: RTX 0.85 vs AZP 0.61
・重回帰モデルでは、GC導入レジメン(高用量または低用量)もANCAタイプ(PR3-ANCAまたはMPO-ANCA)も再発リスクに影響しなかった
・24カ月目のPSL内服患者数: RTX29%(22例/77例 平均2.28mg) vs AZP46%(35例/76例 平均2.8mg)

安全性
・19件の重症感染症がRTX群の15例(18%)、AZP群の19例(22%)に発生。
 非重症感染症は、RTX群で54例(64%)、AZP群で62例(73%)にそれぞれ197例、207例が発生した。
・ベースライン時の血漿中IgG値の低値(OR 0.52, p<0.001)および導入期の高用量PSL(OR 8.6, p<0.001)は、低ガンマグロブリン血症の発症と関連。RTX群の患者1人は、低ガンマグロブリン血症と反復性感染症の治療のため、試験中に免疫グロブリンの静脈内投与を受けた。

<Limitation>
・白人、GPA、PR3ANCAの陽性者が多く、MPO-ANCAが多数を占める本邦にそのまま適応できない可能性
・2年の追跡。さらに長期の経過を観察する必要がある
・RTXの導入量、間隔が2012年のただ1つの観察研究をもとに決定している。RTX量、間隔に関してはさらなる知見が必要

<この論文の好ましい点>
・再発性AAVのコホートとして最大規模
・4大陸、29施設⇒施設や地域のバイアスを最小限にできている

担当:高橋 良

 

 

 

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