膠原病による間質性肺炎に対しRTXとIVCYはどちらが有効?【Journal club 2024/6/12】

Rituximab versus intravenous cyclophosphamide in patients with connective tissue disease-associated interstitial lung disease in the UK (RECITAL): a double-blind, double-dummy, randomised, controlled, phase 2b trial
膠原病による間質性肺炎に対するRTXとIVCYの二重盲検RCT (RECITAL study)

Maher TM, Tudor VA, Saunders P, Gibbons MA, Fletcher SV, Denton CP, Hoyles RK, Parfrey H, Renzoni EA, Kokosi M, Wells AU, Ashby D, Szigeti M, Molyneaux PL; RECITAL Investigators

Division of Pulmonary, Critical Care, and Sleep Medicine, Keck School of Medicine, University of Southern California, Los Angeles, CA, USA; Guy’s and St Thomas’ NHS Foundation Trust, London, UK; National Heart and Lung Institute, Imperial College London, London, UK

Lancet Respir Med. 2023 Jan;11(1):45-54

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<サマリー>
リツキシマブがCTD関連ILDの治療としてシクロホスファミドに優れているかどうかを評価したP2RCT。
24週時点でのベースラインからのFVC変化量は、リツキシマブ群とシクロホスファミド群の間で-40mL(95%CI -153〜74、p=0.49)と統計学的差は検出できなかった。

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<PICO>
P:重度もしくは進行性のILDを伴う全身性強皮症、特発性炎症性筋疾患、MCTDの患者
I:RTX
C:IVCY
O:FVC(努力肺活量)の変化率

<背景>
・リツキシマブは難治性膠原病関連間質性肺疾患にて用いられるが、RCTでの検討はされていない

<研究デザイン>
・多施設 前向き研究 二重盲検 ランダム化比較試験

<Population、およびその定義>
・イギリスの11施設の全身性強皮症、特発性炎症性筋疾患、MCTD
・担当医により重度もしくは進行性ILDを伴うため、シクロホスファミドの投与が必要と判断された患者
・除外基準
 ・RTX、IVCYを投与されたことがある患者
 ・はじめの2週間にコルチコステロイド以外の免疫抑制薬が投与された患者
 ・FEV1/FVC<0.7の閉塞性肺疾患を認める患者

〈主な介入、および、その定義〉
・RTX群:1000mg/bodyを0日目と14日目に投与
・IVCY群:600mg/m2を4週ごとに6回投与
・両群ともステロイドの使用は許容され、投与量は担当医の判断に任されている
・両群とも24週目まで他の免疫抑制薬
・予防として投与時にヒドロコルチゾン、アセトアミノフェン、ポララミン、メスナが投与された。ST合剤の使用は任意

〈エンドポイント〉
・主要評価項目:24週(6ヶ月)のFVCの変化率
・副次的評価項目: 48週のFVCの変化率、6分間歩行、DLCO、SGRQ(St. George’s Respiratory Questionnaire)、KBILD(The King’s Brief ILD questionnaire)、EQ-5D(European Quality of Life 5 Dimension questionnaire)、全生存期間、無増悪生存期間、治療失敗までの期間、総コルチコステロイド量、

〈統計解析〉
・RTXの方がIVCYより優れているとする優越性試験
・メイン解析:Mixed effects model

〈結果〉
・ベースライン
 ・CTD-ILD患者101名が無作為に50名がシクロフォスファミド、51名がリツキシマブに割り付け
 ・シクロフォスファミド群では43名(86%)、リツキシマブ群では42名(82%)が24週間の治療と追跡を完了
 ・平均年齢は56.6歳、66名(68%)が女性
 ・基礎疾患:特発性炎症性ミオパチー44名、全身性硬化症37名、MCTD16名
 ・CTDの発症から平均期間は2.5年

・主要評価項目の結果
 ・IVCY群では99 mL(SD 329、相対変化4.35% [SD 15.67])の増加、RTX群で97 mL(234、4.31% [11.80])の増加 
 ・年齢、性別、ベースラインFVC、および診断について調整された場合、RTX群とIVCY群の24週のFVCのベースラインからの変化率の差は、–40 mL(95% CI –153~74、p = 0.49)

・副次評価項目
 ・ステロイド使用量
 48週間の平均総ステロイド曝露量(ヒドロコルチゾン当量で測定)は、IVCY群で13291 mg(SD 14657)、RTX群で11469 mg(10041)
 ・全生存率
 48週間の研究期間中に、5人の参加者が死亡した。内訳は、IVCYを投与された48人中2人 (4%)、RTXを投与された49人中3人 (6%) 。死亡はすべて、CTDまたはILDの合併症によるものと判断された。全生存率 (HR 1.72 [95% CI 0.31–9.56]、p = 0.534)、無増悪生存率 (1.11 [0.63–1.99]、p = 0.715)、または治療失敗までの時間 (1.25 [0.34–4.65]、p = 0.74) に関して、RTX群とIVCY群の間に差は認められなかった。
 ・有害事象
  ・シクロホスファミド群(646)ではリツキシマブ群(445)よりも多くの有害事象
  ・消化器障害(170対71)、全身障害および投与部位反応(91対52)、神経系障害(72対35)はリツキシマブ群よりもシクロホスファミド群で多くみられた。感染症および寄生虫症(シクロホスファミド群50対リツキシマブ群46)を含むその他の有害事象の頻度は群間で同等だった。

<研究の強み>
・多施設 前向き研究 二重盲検 ランダム化比較試験であること
・シチュエーションは日常臨床に比較的沿っていること
・CTD-ILDに対するリツキシマブの効果を無作為化試験で初めて評価したものであり、シクロフォスファミドとの直接比較を行った初めての試験

〈Limitation〉
・3つの異なる膠原病がエントリーされていること
・コロナの影響で症例数が十分でないこと
・共介入である初期PSL量の記述がされていない、さらに初期PSL量は割付因子としていない。

〈その他のDiscussion〉
・IVCYの投与量が多いためIVCYの結果がよかった可能性や、共介入のステロイド投与量の差をみた可能性
・リツキシマブは、副作用が少なくステロイドの使用量を減らせるため、CTD-ILD患者に対する効果的な治療選択肢として広く応用できる可能性
・FVCがプライマリアウトカムであった。生命予後、在宅酸素導入などのよりハードなアウトカムでの検討がなされれるべき

文責:蕗田淳平

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