「Giant Cell Arteritis with or without Aortitis at Diagnosis. A Retrospective Study of 22 Patients with Long Term Followup」
Oliver Espitia et al
J Rheumatology 2012; 39:2157-2162
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/ 22984271
大血管炎合併GCAの長期予後について言及したstudyは今まで存在しなかったため今回のstudyが行われた。
<対象、方法>
・1999-2011年まで側頭動脈生検で診断し得たGCAの22例。
・診断時から4週間以内に大動脈のHRCTを施行し大動脈炎を抽出し、大動脈炎合併群と非合併群で、血管イベントを中心とした長期間予後・死亡率・再発率・ステロイドの必要性をretrospectiveに比較検討を行った。
<結果>
・大動脈炎合併は10例、非合併は11例であった。
・年齢、HT・DM・脂質異常症の罹患率、CRP値・ESR値、頭痛・顎跛行・眼障害の頻度、PMR合併の頻度には差はなかった<Table1>
・両群とも0.7-1.0mg/kgのPSLにて治療を行った(1例のみは異なる治療)。
・平均のfollowup期間は7.83年。
・12人(54%)が死亡し、大動脈炎合併群では7例、非合併群では5例(有意差なし)。
・大動脈炎合併群7例の死亡例のうち5例が血管系疾患の死因であり、非合併群では血管系疾患での死亡例はなかった(有意差あり)。<Figure 1B>
・具体的な原因としては、大動脈炎合併群では、腹部大動脈瘤破裂、胸部大動脈解離、脳梗塞、虚血性心疾患、閉塞性血管炎、敗血症、交通事故であった。一方、非合併群での死亡原因は膀胱癌、大腸癌、急性腎障害、肺炎、進行した痴呆であった。
・血管系疾患の発症は大動脈炎合併群では7例で13イベント見られた。一方、非合併群では5例で3イベント見られた<Table 2>。
なかでも、脳梗塞は大動脈炎合併群で多い傾向が見られた(4例/10例 vs 0例/12例::有意差なし)
・少なくとも1回でも血管系疾患を起こしたことがある症例は大動脈炎合併群で多い傾向にあった(有意差なし)<Figure 2>
・ステロイドが中止できた症例は大動脈炎非合併群で多かった(有意差あり)<Figure 3>
・大動脈炎合併群は、ステロイド増量が必要な状況が多い傾向であった(有意差なし)<Figure 4>
・再燃率も大動脈炎合併群にて6例/10例と高い傾向にあった(有意差なし)<Figure 5>
<Discussion>
・Limitationとして、small sizeであること、retrospectiveであること、大動脈以外での血管疾患にて5例の死亡例があり関連性については不明瞭であることが挙げられた。
担当:矢嶋宣幸
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