Journal Club【20130206】小児発症SLEと成人発症SLEとで自己抗体や活動性指標の違いはあるか?

「Difference in Autoantibody Profiles and Disease Activity and Damage Score Between Childhood- and Adult-Onset Systemic Lupus Erythematosus: A meta-Analysis」

Brieanna Livingston et al

Semin Arthritis Rheum2012;42:271-280

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22704358

 

小児発症SLEと成人発症SLEとで自己抗体や活動性指標の相違を検討したmeta-analysis

 

<対象、方法>

・19論文から7519例のSLEを抽出したmeta-analysis

・各種抗体やSLEDAI、SDIなどを小児発症例(cSLE)、成人発症例(aSLE)で比較検討した。

<結果>

・抗ds-DNA抗体<OR 1.97>と抗カルジオリピン抗体(IgG/IgM)<OR 1.66>、SLEDAI<OR 4.73>にてcSLEで有意に高値であった。

・RFはcSLEにて有意に低値であった<OR 0.53>

・SDIはaSLEにて高値の傾向であったが有意差はなかった

・ANA、抗Sm抗体、抗RNP抗体、抗U1RNP抗体、抗SSA抗体、抗SSB抗体、ループスアンチコアグラント、補体、抗ss-DNA抗体、クームステストでは差は認めなかった。

<Discussion>

・cSLEにて腎障害との関連性のある抗ds-DNA抗体高値であった。最近の報告ではcSLEにて腎障害の頻度が多い傾向にあることが言われており、今回のdsDNAが高値であったことと関連しているとも考えられる。

・抗カルジオリピン抗体は感染後に上昇するとも言われており、cSLEにて多かった説明になりうるかもしれない。今回は、β2GP1抗体については計測できていなかった。

・RFについてはシェーグレン症候群や炎症性関節炎との関連性が示唆された。最近の知見として、aSLEではsicca症状がcSLEより多く認められると報告されている。

・小児は臓器障害から回復しやすかったり、臓器障害を起こしづらい可能性があり、そのことがSDI低値であったことと関連するかも知れない。

・Limitationとしは、cSLEの年齢の定義や抗体価の定義が不明瞭であること、コホートサイズや観察期間がばらばらであること、人種もばらばらであることが挙げられる。

 

担当:矢嶋 宣幸

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