「Contribution of Obesity to the Rise in Incidence of Rheumatoid Arthritis」
CYNTHIA S. et al
Arthritis Care & Research 3013; 65: 71-77
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22514156
<目的>
・肥満がRAの危険因子となるか。
<方法>
・米国ミネソタのコホートを用いた。
・RAの診断は1987年の分類基準に従った。
・対照群としては、1980-2007年の住民とし、年齢、性、暦年をマッチさせた。
<結果>
・813人のRA患者と813人の対照群にて、背景はTable 1。
・現在と過去の喫煙歴に有意差があるが、肥満率(BMI≧30)含め、差はない。
・ただし、ロジスティック回帰分析では、肥満の既往はOR:1.24 (95% CI:1.00-1.52, p=0.046)だが、現在の肥満はOR:1.10 (95% CI:0.88-1.38)と有意差はない。
・既往肥満は喫煙歴で調整してもOR:1.24 (95% CI:1.01-1.53, p=0.041)と有意である。
・肥満歴とRAへの進行は男女とも似ている。とくに既往肥満かつ60歳以下ではOR:1.32 (95% CI:1.00-1.72)だが、60歳以上では、OR:1.15 (95% CI:0.82-1.61)と有意差はない。
・既往肥満とRF/ACPA陽性陰性では関係ない。
・1985年頃は、年齢マッチの上でのRA発症率は肥満の有無では差がないが2007年頃は差が出てきている。
肥満なし45.4、肥満あり49.8と肥満の有無で4.4 per 100000も上昇しOR:1.24 (95% CI:1.01-1.53)。
・現在の喫煙はOR:1.48 (95% CI:1.14-1.94)、既往喫煙はOR:1.40 (95% CI:1.11-1.76)と肥満の比ではない。
<議論>
・近年RAへの環境的因子としては喫煙、経口避妊薬、授乳、ビタミンD不足、感染症、予防接種、飲酒、大気汚染などあるも、肥満も注目されている。
・肥満と慢性炎症との関係が注目され、脂肪組織、アディポサイトカイン(アディポネクチン、レプチン、TNF、IL-6、CRP)などが言われている。
・肥満はビタミンD欠乏、性ホルモンなども関与するが、今回は検討してない。
・今後、これらの因子も含めた複合的研究をしたい。
・疑問点は、なぜ、既往肥満が影響するかということ。
<結論>
・肥満はRAに進展する中等度の危険因子。
担当:三輪裕介
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