「Role of FDG PET-CT in Takayasu Arteritis sensitive Detection of Recurrences」
JACC Cardiovasc Imaging. 2012;5:422-9
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22498333
背景)
これまで高安動脈炎に血管病変の評価に対するPET検査の有用性は多数報告されている。
この研究ではさらに規模を拡大(n=40)し
①病勢評価のPET検査におけるSUV(standardized uptake value:臓器の放射線濃度)のカットオフ値を検討する。
②未治療のTAのみならず、免疫抑制剤治療中の再発TAに対するPETの有用性も検討を行っている。
方法)
東京歯科大学において2006年~2010年の5年間にTAの診断あるいは再発が確認されたTA患者40名
疾患活動性はNIHの基準を採用(①全身症状、②ESR上昇、③血管虚血症状、④画像上血管の変化:2つ以上を活動性ありと診断)
1.活動性TA 23名vs 非活動性TA12名 vs コントロール40名(年齢、性別をcase -match)
でCRP、ESR、max arterial SUVなどををROC曲線を作成し比較
2.未治療TA10名 vs 治療中再発TA17名 vs 非活動性TA でCRP、ESR、max arterial SUVを比較した
(治療薬 PSL:平均10㎎/日 IS:AZP 2, Cy 1,CyA 3, MTX 2 )
結果)
l CRP、ESR、SUVいずれも活動性病変(未治療および再発)では有意に高値を示したが、ESRに関しては治療中再発TA群と非活動性TA群の間に有意差がなかった。 →ESRは治療中の再発では上昇しづらい
l 画像診断はMRI37例、CTA2例で施行
l ROC曲線(Fig2)ではカットオフ値をそれぞれSUV>2.1、CRP>0.2mg/dl、ESR>19mm/hとすると
l 活動性の感度、特異度はそれぞれ、
SUV:SE92.6%、SP91.7%, CRP:SE81.5%、SP66.7%, ESR:SE74.1%、SP58.3%
l 再発TA、非活動性TAの比較でもAUCは
SUV:94.1%, CRP:63.2%, ESR:63.2% であり治療中の再発指標としてSUVが最も優れていた
考察)
本研究の特徴:
1 . 比較的規模が大きく(n=39)、コントロールとの比較を行っている
2.SUVのカットオフ値を定めた
3.治療薬の修飾を受けている治療中の再発に関してPETの有用性を実証した
4.他研究では再発を『PSL増量が必要なケース』としていることが多いが、本研究ではNIHの活動性の指標を使用し統一した。
Limitation:
l 活動性指標の1つである画像診断、CTAかMRIかの厳密なプロトコールがなく臨床判断で行った。
l バイオマーカーはPET検査の3日以内に評価しているが、同日ではない
l PETの技術的な問題(撮像時間やトレーサーの量などが厳密でない)
l 今後、PETとMRIによる血管壁の評価の比較検討も必要
担当:高橋良
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