「Efficacy and safety of tacrolimus for lupus nephritis: a placebo-controlled double-blind multicenter study」
Nobuyuki Miyasaka, Shinichi Kawai, Hiroshi Hashimoto.
Department of Medicine and Rheumatology, Graduate School, Tokyo Medicine and Dental University, Tokyo, Japan
Mod Rheumatol 2009;19:606
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19688181
ループス腎炎に対してのタクロリムスの有効性と安全性は?
<目的>
・ステロイド治療を受けているループス腎炎に対するTACの有効性と安全性を評価する。
<方法>
・2003-2005年に実施。29施設の多施設共同研究
<対象>
・持続する腎炎がある16-65歳の患者
・PSL≧10mg*8週以上使用している
・持続する腎炎:U-P≧0.5g/d, U-RBC≧21HPF, dsDNA>10 IU/ml, C3<84mg/dl)
・ランダムに分け、二重盲検にてプラセボとTAC:3mg/d(0-0-3)で28週使用した。
・1次エンドポイントとしては、LNDAI(蛋白尿、尿潜血、Cr, dsDNA, 補体)改善度合を使用。
・除外基準:抗血小板薬、抗凝固薬、ウロキナーゼ、NSAIDs、Ca-I, ACE-I, ARB、漢方を使用中
開始前12週以内:ステロイドパルス、血漿交換、免疫吸着を施行
開始後12週以降:他の免疫抑制剤を使用、Cr≧1.5, 膵炎、FBG≧110,
BS≧200, HbA1c≧5.9、肝障害
<結果>
・患者背景はTable 1。
・両群に大きな差はない。
・分け方はITT (Table 2)。
・LNDAIはpreでは有意差なし
・LNDAIはTAC群(n=28)で32.9±31.1%改善、プラセボ群(n=35)で2.3±38.2%悪化した。(両群間に有意差あり)
・Withdrawnの多くは、無効中止。
・蛋白尿、補体もTAC群で有意に改善した。(p<0.001) (Table 2.3) (Fig 3)
・治療関連のAEはTAC群で92.9%、プラセボ群で80.0% (Table 4) で有意差なし
<議論と限界>
・TACはFKBPを介して有効性を発揮し、CyAと似ている。
・SLEDAIの改善も2群で有意差があり、SLE全般に有効である可能性がある。
・他の免疫抑制剤との併用があいまい、他の免疫抑制剤との直接比較ではない、ステロイド減量効果がでていない、Cr≧1.5の症例がないなどが挙げられた。
<結論>
・ステロイド治療を行っているループス腎炎患者にTACを追加することは28週では有効であり、TACはループス腎炎の治療の1つとなりうる
担当:三輪裕介
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