Journal Club【20130626】日本人のAAV患者でBVASは使えるのか?

 

Assessment of the Birmingham vasculitis activity score in patients with MPO-ANCA-associated vasculitis: sub-analysis from a study by the Japanese Study Group for MPO-ANCA-associated vasculitis.

Yumura W, Kobayashi S, Suka M, Hayashi T, Ito S, Nagafuchi H, Yamada H, Ozaki S.

Department of Nephrology, Internal Medicine, International University of Health and Warfare Hospital, Tochigi, Japan,

Mod Rheumatol. 2013 May [Epub ahead of print]

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23712568

 

日本人のAAV患者でBVASは使えるのか?

 

【目的】JMAAVによる前向き非盲検多施設コホート研究

重症例  :全身性血管炎型(2臓器以上)、肺腎型、RPGN型

標準治療:PSL0.6~1.0mg/kg/日+経口CY(0.5~2.0mg/kg/日)/IVCY0.5~1.0g/m2(Cr>1.8mg/dLもしくは60歳以上はCY量を75-50%減量する)、mPSL500mg×3日も考慮。RPGNに対してはヘパリン5000~10000単位の抗凝固療法もしくは抗血小板療法(ジピリダモール300mg/日)も考慮。

寛解例はPSL5-10mg/日+CY/AZP25~75mg/日で治療された。

最重症例:びまん性肺胞出血、消化管穿孔、脳出血、急性膵炎、抗GBM抗体併存RPGNなど難治性病態

標準治療:PE 2-3L/日×3日適宜+重症例標準治療

軽症例:腎限局型、肺線維症型、その他

標準治療:PSL0.3-0.8mg/kg/日(15-30mg/日)  に分類し、

診断後18カ月において、MPO-ANCA関連血管炎においてBVASの有効性のサブ解析を行う

(日本ではヨーロッパと異なりPR3-ANCA関連血管炎よりMPO-ANCA関連血管炎が多いため)。

【方法】診断時と診断後6週間後、3、6、9、12、18ヶ月後にBVASを記録した。

2004年7月から2006年9月までに新規登録されたMPO-ANCA関連血管炎患者48人(男性17女性31)を登録。

【結果】患者背景はTable1. BVASとMPO-ANCA抗体価には相関関係を認めなかった。

診断時、全患者のBVAS new/worse(新規/増悪)平均12.2±9.1、BVAS persistent(持続)平均3.5±3.2

重症例はBVAS new/worse平均15.3±9.0、BVAS persistent平均4.2±3.1

軽症例はBVAS new/worse平均9.2±8.2、BVAS persistent平均2.7±3.2

最重症例はBVAS new/worse平均11.5±12.0、BVAS persistent平均5.4±3.5

これらは既存の報告に一致した。重症例のBVAS new/worseは軽症例より有意に高値であった(p = 0.04)。4人は評価するのに十分なデータが得られず除外された。44人中5人が18ヶ月の観察期間中に死亡した(感染症2人、間質性肺炎1人、脳出血2人)。

全体のBVASの経時変化をFig.1に示す。治療によりBVAS new/worse0へ低下した。BVAS persistentは有意な低下はみられなかった。重症例と軽症例の比較をFig.2に示す。6週におけるBVAS new/worseは重症例で有意に高値であった(Fig 2a)。さらにBVAS persistentはすべての時点で重症例で有意に高値であった(Fig 2b)。

腎(new/worse 69.2 %, persistent 40.4 %)、一般状態(new/worse 67.3 %, persistent 53.8 %)、胸部(new/worse 36.5 %, persistent 46.2 %)、神経(new/worse 38.5 %, persistent 25.0 %)が診断時に頻度が多い臓器障害であった(Table 2)。寛解導入療法により、速やかにBVAS (new/worse)は低下したが、BVAS(persistent)の改善は臓器系により異なった。BVAS (new/worse)の腎系の全ての項目はベースランに比較して全ての時点で有意低下した。BVAS(persistent)の血尿、蛋白尿は有意に低下したが腎機能は著変なかった(Fig. 4a, b)。BVAS (new/worse)の胸部系の全ての項目もベースランに比較して全ての時点で有意低下した。浸潤影(間質性肺炎)項目を認める患者の割合は12, 15, 18ヶ月で有意に低下したが他の項目は有意な低下は認められなかった(Fig. 5a, b)。BVAS (new/worse)の神経系の全ての項目はベースラインより有意に低下したが、BVAS(persistent)の項目には有意差は認めなかった(Fig. 6a, b)。

【考察】BVASの臓器障害の頻度はこれまでの報告と類似していた。これまでにBVAS臓器別の各項目を経時的に評価した報告はなく、重要な報告である。BVASが最適な治療を選択することにより貴重な指標になることが示された。それ故、日本人のMPO-ANCA関連血管炎において疾患活動性と臓器障害の程度の有用な指標になる

 

 

  • 担当:若林 邦伸

     

     

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