「Junctional Adhesion Molecule-C is a soluble mediator of angiogenesis」
Bradley J. Rabquer et al.
Journal of Immunology, 2010, 185; 1777-1785.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20592283
1) 可溶性JAM-Cを正常人と関節リウマチ(RA)の血清、また変形性関節症(OA)、乾癬性関節炎および関節リウマチの関節液中の濃度を測定した。RA血清中には正常より優位に可溶性JAM-Cの濃度が高かった。同様にRA関節液中にはOAよりも高い濃度で存在した。
2) 内皮細胞(HMVECs、HMEC-1s)を炎症性サイトカインやFGFで刺激することでJAM-Cは細胞内、細胞外への産生が亢進された。
3) JAM-Cを切断している酵素としてはADAM10と17が関与していることが認められた。
4) 切り出されたJAM-Cがどのような働きをしているかを調べるために、chemotaxisを行った。sJAM-C(100nM)を最高値として血管内皮細胞の遊走が認められた。関節液からJAM-Cを除いたところ、遊走細胞数は減少した。
5) 細胞の遊走があるかどうかをチェッカーボードで検討したところ、chemotaxisだけでなく、chemotaxisも持っていることが示された。
6) sJAM-Cの血管新生能について検討するため、Matrigel assayを用いて検討した。sJAM-Cは優位にtube formationを増加させた。
7) In vivoとしてMatrigelをPBSもしくはsJAM-Cと一緒にマウスの背部に打ったところ、ヘモグロビンの濃度はsJAM-Cをいれたものでは高くなっていた。
8) 最後にsJAM-Cの細胞内シグナリングを調べるためにケミカルインヒビターを使用してchemotaxisを行った。Src, p38、PI3Kが経路として示唆されたため、ウェスタンブロットで確認した。
(考察)
JAM-Cは関節リウマチにおいて亢進しており、血管内皮細胞の遊走や管腔形成に関与している。これらのことから、JAM-Cは関節リウマチの治療ターゲットとなることが示唆された。
担当: 磯崎 健男
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