Journal Club【20130619】 可溶性JAM-Cは血管新生を誘導する?

「Junctional Adhesion Molecule-C is a soluble mediator of angiogenesis」

Bradley J. Rabquer et al.

Journal of Immunology, 2010, 185; 1777-1785.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/20592283

 

1)    可溶性JAM-Cを正常人と関節リウマチ(RA)の血清、また変形性関節症(OA)、乾癬性関節炎および関節リウマチの関節液中の濃度を測定した。RA血清中には正常より優位に可溶性JAM-Cの濃度が高かった。同様にRA関節液中にはOAよりも高い濃度で存在した。

2)    内皮細胞(HMVECs、HMEC-1s)を炎症性サイトカインやFGFで刺激することでJAM-Cは細胞内、細胞外への産生が亢進された。

3)    JAM-Cを切断している酵素としてはADAM10と17が関与していることが認められた。

4)    切り出されたJAM-Cがどのような働きをしているかを調べるために、chemotaxisを行った。sJAM-C(100nM)を最高値として血管内皮細胞の遊走が認められた。関節液からJAM-Cを除いたところ、遊走細胞数は減少した。

5)    細胞の遊走があるかどうかをチェッカーボードで検討したところ、chemotaxisだけでなく、chemotaxisも持っていることが示された。

6)    sJAM-Cの血管新生能について検討するため、Matrigel assayを用いて検討した。sJAM-Cは優位にtube formationを増加させた。

7)    In vivoとしてMatrigelをPBSもしくはsJAM-Cと一緒にマウスの背部に打ったところ、ヘモグロビンの濃度はsJAM-Cをいれたものでは高くなっていた。

8)    最後にsJAM-Cの細胞内シグナリングを調べるためにケミカルインヒビターを使用してchemotaxisを行った。Src, p38、PI3Kが経路として示唆されたため、ウェスタンブロットで確認した。

 

(考察)

JAM-Cは関節リウマチにおいて亢進しており、血管内皮細胞の遊走や管腔形成に関与している。これらのことから、JAM-Cは関節リウマチの治療ターゲットとなることが示唆された。

 

担当: 磯崎 健男

 

 

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