「Risk of pulmonary embolism in patients with autoimmune disorders: a nationwide follow-up study from Sweden」
Bengt Zoller, Xinjun Li, Jan Sundquist, Kristina Sundquist
Center for Primary Health Care Research, Lund University/Region Skåne, Malmö University Hospital, Malmö, Sweden
Lancet 2012; 379: 244–49
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22119579
自己免疫疾患でのPEのリスクとは?
【目的】
・自己免疫性疾患におけるPEのrisk解析。
【背景】
・自己免疫性疾患は静脈血栓症とリンクしている。
・そこで、自己免疫性疾患とPEの関係を調べてみる。
・米国ではPE≧1/1000人年、診断後3か月の死亡率は15%以上。AMIと同様。
・炎症と静脈血栓症に関連あり。
【方法】
・対象:病院受診歴のないスウェーデン人の1次性or 2次性PEを呈した自己免疫性疾患の患者。
・期間:1964/1/1-2008/12/31
・使用database : Mig Med 2(全瑞典人の全個人データーは登録されている高品質のもの)
・(年齢、性別、人種、病名、入院歴、死因など)
・PEのSIRを年齢、性別を調節し計算
・PEの診断:ICD7-10に従った
※スポンサーはstudy design, collection, analysis, interpretation, writing, reportに関与なし
【結果】
・自己免疫性疾患の最初の1年間のrisk : SIR 6.38 (6.19-6.57)
・全33自己免疫性疾患は最初の1年間のPEのriskが高い。
・とくに高リスク(SIR)
ITP 10.79 (7.98-14.28)
PN 13.26 (9.33-18.29)
PM/DM 16.44 (11.57-22.69)
SLE 10.23 (8.31-12.45)
・Riskは時間経過とともに低下する
1-5y 1.53 (1.48-1.57)
5-10y 1.15 (1.11-1.28)
10y- 1.04 (1.00-1.07)
・時代とともに改善している
1964-1988 1.79 (1.75-1.83)
1989-2008 1.44 (1.40-1.47)
・入院期間では差がない
<7d 1.56 (1.52-1.59)
≧7d 1.61 (1.58-1.65)
【議論と限界】
・静脈血栓症のリスクは疾患で異なる
・凝固の上に炎症があること、ステロイドなどの治療薬による影響が考えられる。
・スウェーデンではPEは必ず入院加療なので、データーの欠損はない。
・限界。CVD risk、喫煙、食事、体重のデーターはない。
・年々減っているのは低分子ヘパリンの発明の影響か。
【結論】
・自己免疫性疾患の最初の1年間はPEの高リスク。
・自己免疫性疾患は、おそらく過凝固疾患と捉えるべきであろう。
担当:三輪 裕介
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